トヨタの高級セダン「クラウン」。
本来は企業の重役や政治家の公用車として愛されてきた日本を代表する高級車ですが、近年では「ヤンキー」や「ヤン車」というイメージが定着してしまっています。
特に中古車市場では、威圧感のある改造を施したクラウンを見かけることも多く、一般ユーザーからは「怖い」「近寄りがたい」という声も聞かれます。
なぜ高級車のクラウンがヤンキー文化と結びついたのでしょうか?
この記事では、クラウンがヤンキーに愛される5つの理由から、改造の実態、そして本来のクラウンの魅力を取り戻すためのイメージ改善方法まで、徹底的に解説していきます。
クラウンがヤンキーに好まれる5つの理由
高級車の代名詞であるクラウンが、なぜヤンキー文化と結びついたのでしょうか。
そこには、高級車としてのステータス性と中古車市場での手頃な価格という、一見矛盾する要素が生み出した独特の文化があります。
- 【理由1】高級車としてのステータス性
- 【理由2】威圧感のあるデザイン
- 【理由3】中古車市場での手頃な価格
- 【理由4】カスタマイズの自由度の高さ
- 【理由5】世代を超えた人気モデルの存在
以下より、詳しく解説します。
【理由1】高級車としてのステータス性
クラウンはトヨタのフラッグシップモデルとして、日本の高級車市場を長年にわたってリードしてきました。
「いつかはクラウン」というキャッチコピーが示すように、クラウンは多くの日本人にとって成功の象徴であり、憧れの対象でした。
車男爵
ヤンキー文化において重要なのは「自己主張」と「威厳」です。
高級車であるクラウンに乗ることで、周囲に対して一定のステータスを誇示できるという心理が働いています。
新車では手が届かなくても、中古車なら購入可能という現実が、この傾向をさらに加速させています。
【理由2】威圧感のあるデザイン
クラウンの外観デザイン、特にフロントグリルの迫力は、強者のオーラを演出するのに最適です。
大型のフロントグリルと鋭い目つきのヘッドライトは、道路上で圧倒的な存在感を放ちます。
- 大型で存在感のあるフロントグリル
- ワイドで低重心なボディシルエット
- 威厳を感じさせる全長4.9m超のボディサイズ
- 高級感のあるメッキパーツ
これらのデザイン要素は、本来は高級車としての風格を演出するためのものですが、改造を加えることでより威圧的な印象を与えることができます。
【理由3】中古車市場での手頃な価格
新車価格が500万円を超えるクラウンも、中古車市場では驚くほど手頃な価格で購入できます。
特に人気の高い12代目クラウン(通称ゼロクラウン)は、修復歴なし、走行距離6万kmでも50万円程度から購入可能です。
- ゼロクラウン(12代目) ⇒ 50万円~200万円
- 200系(13代目) ⇒ 100万円~300万円
- 210系(14代目) ⇒ 150万円~400万円
この価格帯なら、若年層でも十分に手が届く範囲です。
車男爵
【理由4】カスタマイズの自由度の高さ
クラウンは豊富なアフターパーツと改造しやすい車体構造を持っています。
エアロパーツ、車高調、マフラー、ホイールなど、さまざまなカスタムパーツが市場に流通しており、自分好みの仕様に仕上げることができます。
- エアロパーツ3点セット(フロント・サイド・リア)
- 車高調整式サスペンション
- 19~22インチの大径ホイール
- 社外マフラー
- LEDカスタムライト
パッケージ化されたエアロパーツなら、塗装・取付工賃込みで45万円程度から購入できるため、段階的にカスタマイズを楽しむことができます。
【理由5】世代を超えた人気モデルの存在
特に12代目クラウン(通称ゼロクラウン)は、2003年から2008年まで生産され、今でも根強い人気を誇ります。
ゼロクラウンが支持される理由として、従来のクラウンから大きくデザインを刷新し、スポーティーな印象を与えたことが挙げられます。
- プラットフォームを一新した革新的なモデル
- V6エンジンによるパワフルな走行性能
- アスリートとロイヤルサルーンの2系統
- 豊富なカスタムパーツの流通
中古車市場での流通量は減少傾向にありますが、それだけ人気が高く、所有者が手放したがらないモデルであることを示しています。
ヤンキー仕様クラウンの特徴と改造内容
実際に街で見かける「ヤンキー仕様」のクラウンには、いくつかの定番パターンがあります。
ここでは、外装から内装まで、どのような改造が施されているのかを詳しく解説していきます。
- 外装の定番改造(シャコタンなど)
- 内装とオーディオのカスタム
- 人気の高いボディカラー
以下より、各改造内容について詳しく見ていきます。
外装の定番改造(シャコタンなど)
ヤンキー仕様の外装改造で最も特徴的なのは、「シャコタン」と呼ばれる極端な車高の低さです。
エアサスペンションや車高調を使用して、限界まで車高を下げることで、迫力のあるスタイリングを演出します。
- シャコタン(エアサス・車高調による極端な車高ダウン)
- フルエアロ装着(フロント・サイド・リアの3点セット)
- 大径ホイール(19~22インチ)
- ツライチ(タイヤがフェンダーギリギリまで出る調整)
- スモークフィルム(濃いめのフィルムで視界を遮る)
特にエアサスペンションは、走行時と停車時で車高を変えられるため、実用性を保ちながら見た目のインパクトを追求できることから人気があります。
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内装とオーディオのカスタム
内装面では、重低音を重視したオーディオシステムが定番です。
大型のウーファーを搭載し、車外にまで響く重低音を楽しむスタイルが好まれています。
- 大型ウーファーの設置(トランクスペースを使用)
- 高出力アンプの搭載
- LEDイルミネーション(フットライトなど)
- シートカバーの変更(革調やスエード調)
- ステアリングの交換
また、プライバシーガラスとして、リアガラスやリアサイドガラスに濃いスモークフィルムを貼ることも一般的です。
人気の高いボディカラー
ヤンキー仕様のクラウンで圧倒的に人気が高いのは「黒」です。
黒塗装は威圧感と高級感を同時に演出でき、改造パーツとの相性も良いため、選ばれることが多いです。
- 1位⇒ブラック(圧倒的人気)
- 2位⇒パールホワイト
- 3位⇒ダークシルバー
- 4位⇒ダークブルー
黒いボディに黒いホイール、スモークフィルムという「オールブラック」仕様は、ヤンキー仕様の定番中の定番となっています。
違法改造してしまいがちなヤンキークラウン!リスクと注意点
カスタマイズの自由度が高いクラウンですが、法令を逸脱した改造は重大なリスクを伴います。
ここでは、知らないでは済まされない法的な問題について詳しく解説します。
- 車検に通らない改造例
- 違法改造による罰則
- 保険への影響
以下より、それぞれのリスクについて詳しく見ていきます。
車検に通らない改造例
最も多い違法改造は、最低地上高の基準違反です。
道路運送車両保安基準第163条により、最低地上高は9cm以上と定められています。
- 最低地上高9cm未満のシャコタン
- タイヤ・ホイールの車体外へのはみ出し
- 過度なキャンバー角(鬼キャン)
- 基準を超える音量のマフラー
- フロントガラスへの着色フィルム
車男爵
車検に通らないだけでなく、公道を走行すること自体が違法となります。
違法改造による罰則
違法改造車に対しては、整備命令が発令されます。
この命令に従わない場合、以下の罰則が科せられます。
整備命令に従わない場合 ⇒ 50万円以下の罰金
使用停止命令後も使用した場合 ⇒ 6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金
また、違法改造を行った改造実施者にも罰則が適用される場合があります。
車男爵
保険への影響
違法改造車は、任意保険への加入が困難になる場合があります。
また、加入できたとしても、事故時に保険金が支払われないリスクがあります。
- 任意保険の加入拒否や保険金支払い拒否のリスク
- 構造変更申請で合法化する方法
以下より、各項目について説明します。
任意保険の加入拒否や保険金支払い拒否のリスク
保険会社は違法改造車への保険引き受けを拒否することができます。
- 新規加入を断られる
- 更新時に契約解除される
- 事故時に保険金が支払われない
- 保険料が大幅に高くなる
特に事故を起こした際に、車両が違法改造されていたことが判明すると、保険金の支払いを拒否される可能性があります。
構造変更申請で合法化する方法
改造を合法化するには、構造変更申請を行う必要があります。
- 陸運局への事前相談
- 必要書類の準備
- 構造変更検査の受検
- 車検証への「改」記載
車検証の型式欄に「改」と記載されれば、合法的な改造車として認められ、保険加入も問題なく行えます。
クラウンのヤンキーイメージ化による影響とは?
クラウンが「ヤンキー車」というイメージを持たれることで、本来のユーザー層や販売面にも影響が出ています。
ここでは、このイメージ問題がもたらす社会的な側面について詳しく見ていきます。
- 一般ユーザーから見たクラウンのイメージ
- 販売への影響と購入層の変化
- 社用車・ハイヤーとしての採用への影響
以下より、それぞれの影響について解説していきます。
一般ユーザーから「怖い」「近寄りがたい」とみられる
街中で改造されたクラウンを見た一般ユーザーからは、「怖い」「近寄りがたい」という声が多く聞かれます。
特に、黒塗りでシャコタン仕様のクラウンが後ろから接近してくると、威圧感を感じるドライバーが少なくありません。
- 煽り運転をされそうで怖い
- 反社会的勢力の車というイメージ
- マナーの悪い運転をしそう
- 近づきたくない、関わりたくない
このようなイメージは、クラウン全体のブランドイメージを毀損する結果となっています。
車男爵
本来のクラウン支持層が離れている
ヤンキーイメージの定着により、新車の購入層にも変化が見られます。
かつては幅広い年齢層に支持されていたクラウンですが、現在では購入層が二極化しています。
| 購入形態 | 主な購入層 | 年齢層 |
| 新車購入 | 企業役員、医師、経営者など | 50代以上 |
| 中古車購入 | 若年層、カスタム愛好家 | 20~30代 |
この二極化により、30~40代の中間層がクラウンを敬遠する傾向が見られます。
社用車・ハイヤーに採用されなくなっている
クラウンにヤンキーイメージは、企業の社用車やハイヤーとしての需要にも影響が出ています。
企業イメージを重視する会社では、クラウンの採用を見送るケースも増えています。
- 取引先への印象が悪くなる可能性
- 威圧的なイメージによる営業活動への悪影響
- 若い社員が乗りたがらない
- ブランドイメージの低下
その結果、レクサスや輸入車を選択する企業が増加しており、クラウンの法人需要は減少傾向にあります。
脱ヤンキー!クラウンのイメージを改善する方法
クラウンの本来の魅力を正しく理解し、イメージを改善するために、オーナーができる具体的な対策を紹介します。
- 運転マナーを守った運転をする
- 改造するなら品を重視する
以下より、それぞれの対策について詳しく解説します。
運転マナーを守った運転をする
クラウンのイメージ改善で最も重要なのは、オーナー一人ひとりの運転マナーです。
煽り運転や危険運転を避け、紳士的な運転を心がけることで、周囲からの印象は大きく変わります。
- 適切な車間距離の維持
- ウインカーの早めの点灯
- 歩行者や自転車への配慮
- 無理な割り込みをしない
- 適切な音量での音楽鑑賞
車男爵
改造するなら品を重視する
カスタマイズを楽しむ場合でも、過度な改造は避けて上品さを保つことが大切です。
- 適度な車高調整(車検適合範囲内)
- 純正オプションのエアロパーツ
- 上品なホイールデザイン
- 控えめなマフラー交換
- 高級感のある内装カスタム
「威圧」ではなく「高級感」を追求することで、本来のクラウンらしさを保ちながらカスタマイズを楽しめます。
まとめ
クラウンがヤンキーに愛される理由は、高級車としてのステータス性と手頃な中古車価格、そしてカスタマイズの自由度の高さにありました。
しかし、過度な改造や威圧的な運転マナーにより、本来の高級車としてのイメージが損なわれているのも事実です。
- 違法改造は重大なリスクを伴い、最大50万円の罰金や保険加入拒否につながる
- 適切な運転マナーと品のある改造でイメージ改善は可能
- 新型クラウンは4つのボディタイプでブランドイメージの刷新を図っている
クラウンは日本が誇る高級車です。
オーナー一人ひとりが品格ある振る舞いを心がけることで、クラウン本来の魅力を取り戻すことができるでしょう。
車男爵


