日産マーチ(K13)は、2010年から2022年まで販売されたコンパクトカーです。
丸みを帯びた可愛らしいデザインと手頃な価格で一定の人気を得ました。特に中古車市場では平均48.5万円という安さで流通しています。
ただし、実際のオーナーや専門家からは「ひどい」といった厳しい評価も少なくありません。
この記事ではK13型マーチの購入を検討している方が後悔しないよう、問題点と魅力の両面から詳しく解説します。
日産マーチ(K13)が「ひどい」「買ってはいけない」と言われる5つの理由
K13型マーチには、購入前に知っておくべき重要な問題点があります。
- 【理由1】乗り心地が固く、長距離で疲れる
- 【理由2】安全装備が決定的に不足している
- 【理由3】タイ製による品質への不安
- 【理由4】内装が価格相応以上に安っぽい
- 【理由5】現代の基準では燃費が良くない
以下より、詳しく解説します。
【理由1】乗り心地が固く、長距離で疲れる
K13マーチの乗り心地については、多くのユーザーから不満の声が上がっています。
価格.comのユーザーレビューでは、乗り心地の評価は5点満点中わずか3.00点という低い評価となっています。これはカテゴリ平均の4.02点を大きく下回る数値です。
実際にK13マーチに乗ったユーザーからは、「路面の衝撃がもろに伝わってくる」「ロードノイズがかなり聞こえる」といった声が寄せられています。
- サスペンションが固く、路面の凹凸を直接感じる
- 軽自動車のN-BOXや新型アルトよりも劣る乗り心地
- 高速道路100km/h走行時に不安定さを感じる
- 長距離運転では疲労が蓄積しやすい
車男爵
特に注目すべきは、現行の軽自動車にさえ劣る乗り心地という評価です。コンパクトカーでありながら、軽自動車よりも快適性で劣るというのは大きな問題点といえるでしょう。
【理由2】安全装備が決定的に不足している
K13マーチの最大の問題点の一つが、安全装備の不足です。
日産自動車は2020年7月16日にマーチの部分改良を行い、ようやく自動ブレーキなどの先進運転支援システム(ADAS)を全車に標準搭載しました。
つまり、2020年7月以前に製造されたK13マーチには、自動ブレーキが装備されていません。
中古車市場に出回っているK13マーチの多くは2020年7月以前のモデルです。
これらの車両には自動ブレーキをはじめとする先進安全装備が搭載されていないため、現代の安全基準から見ると大きく劣ります。
2020年7月の改良後でも、NISMO・NISMO Sグレードは「サポカーSワイド」の認定を受けていません。
車男爵
【理由3】タイ製による品質への不安
K13マーチは、日産のコンパクトカーとして初めてタイで生産され、日本に輸入される形で販売されました。
この生産国の変更について、ベストカーの記事では「TATAから学んだ開発部隊は、K13開発にて、贅沢を削ぎ、最低限の装備に絞り、流用できるパーツはそのまま使い、そして極限の軽量化を行った」と報じています。
参考
日産マーチ凋落の理由、コスト削減が逆効果か?元エンジニアが考察ベストカー
- K13は日産初のタイ生産による輸入車
- 世界各国で生産されるグローバルカーの一部
- コスト削減を重視した設計
- 日本市場向けの最適化が不十分との指摘
価格.comのレビューでは、「タイ生産なのは誰のためでしょうか?」という疑問の声が上がっており、「メーカーとディーラーの利益確保のためのタイ生産」という厳しい意見も見られます。
ただ、実際の品質については、「特にこれといった定番の故障は無い」という評価もあり、必ずしも品質が劣るわけではありません。
しかし、国内生産からタイ生産への切り替えに対する心理的な不安は、多くのユーザーに影響を与えているようです。
【理由4】内装が価格相応以上に安っぽい
K13マーチの内装については、価格.comのレビューで5点満点中2.63点という極めて低い評価となっています。これはカテゴリ平均の3.92点を大きく下回ります。
- インパネ周りは全て黒い樹脂製で地味
- ペラペラで安っぽい質感
- 155万円の価格帯でマニュアルエアコン
- 高級感の欠片もない
実際のユーザーからは、「内装がチープで、乗り心地や遮音性は期待より悪かった」「内装の仕上げもイマイチ」といった声が寄せられています。
車男爵
先代のK12型と比較しても、「K12は安っぽいインテリアの素材をデザインでカバーしていたが、K13はそれすらない」という評価があり、モデルチェンジで内装の質が後退したという指摘もあります。
【理由5】現代の基準では燃費が良くない
K13マーチの燃費性能は、現代の基準から見ると決して良いとは言えません。
みんカラのユーザー燃費データによると、実燃費は平均11.89km/Lとなっています。条件の良い場合でも14.9~15.2km/L程度です。
- 街乗り実燃費 ⇒ 10~12km/L
- 郊外実燃費 ⇒ 14~16km/L
- 高速実燃費 ⇒ 16~20km/L
- 夏場エアコン使用時 ⇒ 10km/L以下になることも
現在の競合車種であるトヨタ・ヤリスのハイブリッドモデルがWLTCモードで35.4~36.0km/Lを達成していることを考えると、K13マーチの燃費性能は大きく見劣りします。
車男爵
要注意!マーチ(K13)の中古車でよくある故障事例
K13マーチを中古で購入する際は、以下の故障事例に注意が必要です。
- 電装系トラブル(テールランプの接触不良など)
- アイドリングストップ関連の不具合
それぞれの故障事例について、詳しく見ていきましょう。
電装系トラブル(テールランプの接触不良など)
K13マーチでは、電装系のトラブルが報告されています。
特に注意すべきは、セルモーター(スターター)の不具合によるリコールです。
2010年6月25日~2014年4月15日に生産されたK13マーチ(FF車)では、セルモーターの不具合により以下の危険性があります。
・エンジンの始動不良
・電気ショートによる発火の危険性
実際に少なくとも29件の不具合が発生し、そのうち3件は火災に至っています。
この他にも、各種センサー類の不具合やテールランプの接触不良など、経年劣化による電装系トラブルのリスクがあります。
車男爵
アイドリングストップ関連の不具合
K13マーチのアイドリングストップ機能について、「30分経過しても作動しないことがある」という不具合報告があります。
参考
K13型マーチで時に30分経過してもアイドリングストップが作動し…Yahoo!知恵袋
また、より深刻な問題として、CVTミッションの不具合に関するサービスキャンペーンが実施されています。
- K13(FF) ⇒ 2010年6月24日~2012年3月21日生産車
- NK13(4WD) ⇒ 2010年6月26日~2012年7月5日生産車
CVTの不具合では、以下の症状が発生する可能性があります。
- 異音や振動の発生
- ベルト滑りによる発進・加速のもたつき
- 最悪の場合、CVTミッション一式の交換が必要
車男爵
ひどいだけじゃない!価格とデザインで選ぶマーチ(K13)の魅力
ここまで問題点を指摘してきましたが、K13マーチにも魅力的な点があります。
- 【魅力1】圧倒的な車両価格の安さ
- 【魅力2】丸みを帯びた親しみやすいデザイン
以下より、K13マーチの良い点について解説します。
【魅力1】圧倒的な車両価格の安さ
K13マーチの最大の魅力は、その圧倒的な価格の安さです。
カーセンサーのデータによると、中古車価格は平均48.5万円、価格帯は9万円~209万円となっています。
- 3年落ち・走行1万km以下 ⇒ 50~60万円
- 5年落ち・走行5万km程度 ⇒ 30~40万円
- 7年落ち・走行10万km程度 ⇒ 20~30万円
価格.comのレビューでも、「2年落ち、グレードSでコミコミ70万円。軽自動車の中古より安価!」という声があり、軽自動車の中古車よりも安く購入できるケースも少なくありません。
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また、1.2Lエンジンは軽自動車と比べて余裕があり、「4人乗車でも普通に走れる」「高速道路での合流も問題ない」という評価もあります。
【魅力2】丸みを帯びた親しみやすいデザイン
K13マーチのエクステリアデザインは、丸みを帯びた可愛らしいフォルムが特徴です。
価格.comのレビューでは、エクステリアの評価は3.27点で、内装などと比べると相対的に高い評価を得ています。
- 丸っこい可愛げのあるデザイン
- 女性向けという印象の親しみやすさ
- ライトが可愛い
- 見切りが良く運転しやすい
特にNISMOグレードでは、専用エアロパーツの装着によりスポーティな外観となり、通常のマーチとは一線を画すデザインとなっています。
車男爵
また、あまり街中で走っていないという希少性も、個性を求める方には魅力となるでしょう。
K13が合わないならデザインで評価の高いK12型が最適
K13型の問題点が気になる方には、先代のK12型マーチという選択肢もあります。
- K12型のメリット|今なお色褪せないデザインと軽快な走り
- K12型のデメリット|CVTの故障リスク
それでは、K12型について詳しく見ていきましょう。
K12型のメリット|今なお色褪せないデザインと軽快な走り
K12型マーチ(2002年~2010年)は、K13型よりも高い評価を得ているモデルです。
価格.comのレビューでは、K12型の満足度は4.22点で、K13型の3.20点を大きく上回っています。
- エッジの効いたヨーロッパ調のデザイン
- デザインの日産と呼ばれた時代の傑作
- 国内生産による安心感
- カエルのような愛らしい外観
実際のオーナーからは、「K13は前代から劣るモデル」「状態の良い物があるなら絶対にK12系を購入する事をお勧めする」という声もあり、K12型の方が完成度が高いという評価が多く見られます。
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また、プラスコンランなどの特別仕様車では、オートライト、サイドミラー自動格納、バック時のミラー自動下降など、現代でも通用する充実装備が魅力です。
K12型のデメリット|CVTの故障リスク
一方で、K12型にも注意すべき点があります。
最大の問題は、CVTミッションの故障リスクです。K12型でもCVTに関する不具合報告があり、修理が必要になると高額な費用がかかります。
- CVTの故障で修理代が高額になる可能性
- 年式が古く、経年劣化のリスクが高い
- 部品の入手性が悪くなってきている
- 最新の安全装備は一切搭載されていない
年数が経っていたり距離を走ったK12マーチの中古車は、経年劣化でいつ故障が起きてもおかしくないとの指摘もあるので、注意が必要でしょう。
車男爵
結局、どんな人がマーチ(K13型)を買って後悔しないのか?
K13マーチの問題点と魅力を踏まえた上で、どのような人に向いているのかを整理します。
- こんな人にはK13型がおすすめ
- こんな人は他の車(ライバル車やK12型)を検討すべき
以下より、それぞれについて説明します。
こんな人にはK13型がおすすめ
K13マーチは、以下のような方には良い選択となるでしょう。
- とにかく安く車を手に入れたい人(中古車平均48.5万円という圧倒的な安さ)
- 街乗りメインで長距離は乗らない人(固い乗り心地でも短距離なら問題なし)
- セカンドカーや買い物車として使う人(最小回転半径4.5mで取り回し抜群)
- 車に多くを求めず、移動手段として割り切れる人(装備は最小限だが必要十分)
- 維持費を最小限に抑えたい人(1.2Lで自動車税も安く、部品代も安価)
価格.comのレビューでも、「維持費のかからない車」「道具として乗るなら良い車」という評価があり、割り切って使うなら十分な性能を持っています。
車男爵
こんな人は他の車(ライバル車やK12型)を検討すべき
一方、以下のような方にはK13マーチはおすすめできません。
- 快適性や静粛性を重視する人(ロードノイズが大きく長距離では疲れる)
- 最新の安全装備を求める人(2020年7月以前は自動ブレーキすら非搭載)
- 高速道路を頻繁に利用する人(100km/h走行時に不安定さを感じる)
- 内装の質感にこだわる人(プラスチック感満載で高級感ゼロ)
- 燃費性能を重視する人(実燃費11.89km/Lは現代基準では悪い)
このような方には、以下の選択肢を検討することをおすすめします。
- デザイン重視なら ⇒ K12型マーチ(エッジの効いたヨーロッパ調デザイン)
- 安全装備重視なら ⇒ トヨタ・ヤリス、ホンダ・フィット(最新の予防安全装備を標準搭載)
- 燃費重視なら ⇒ ハイブリッド車(アクア、ノートe-POWERなら実燃費20km/L以上)
- 快適性重視なら ⇒ 上級コンパクト(マツダ2、スイフトは静粛性と乗り心地が優秀)
まとめ
日産マーチ(K13)について、問題点と魅力の両面から詳しく解説してきました。
確かに、乗り心地の固さ、安全装備の不足、内装の安っぽさなど、多くの問題点があることは事実です。特に2020年7月以前のモデルでは自動ブレーキすら装備されていないため、現代の安全基準から見ると大きく劣ります。
しかし一方で、圧倒的な価格の安さと扱いやすいサイズは大きな魅力です。街乗りメインで、車に多くを求めない方にとっては、十分な選択肢となり得るでしょう。
- 中古車購入時は必ずリコール対策の確認を
- CVTのサービスキャンペーン対象車は要注意
- デザイン重視ならK12型も検討の価値あり
- 安全性を重視するなら他車種を検討すべき
最終的には、あなたの使用目的と優先順位に応じて判断することが大切です。
価格の安さを最優先するなら、K13マーチは今でも有力な選択肢の一つです。しかし、快適性や安全性を重視するなら、もう少し予算を増やして他の車種を検討することをおすすめします。
中古車選びは妥協点を見つけることも重要です。この記事が、あなたの後悔しない車選びの参考になれば幸いです。