カローラスポーツはTNGAプラットフォームを採用し、ポーティなデザインと走行性能を追求したモデルとして開発されましたが、残念ながら国内市場では販売面で苦戦が続いています。
実際、2018年の発売当初は月販目標台数2,300台に対して約9,200台を受注するなど好調なスタートを切ったものの、その後は販売台数が伸び悩み、「売れない車」というイメージが定着してしまいました。
しかし、カローラスポーツは本当に魅力のない車なのでしょうか?
この記事では、カローラスポーツが売れない理由を5つの観点から分析するとともに、あまり知られていない魅力やメリット、そして購入をおすすめできる人・できない人についても詳しく解説していきます。
カローラスポーツが売れない不人気車と言われる5つの理由
カローラスポーツが日本市場で苦戦している理由は、単純に「魅力がない」というわけではありません。
むしろ、日本市場特有のニーズとのミスマッチや、時代の流れによる影響が大きいと言えるでしょう。
ここでは、カローラスポーツが売れない理由を5つ見ていきます。
- 【理由1】デザインの好みが分かれるスポーティな外観
- 【理由2】実用性よりも「走り」を重視した設計(後席・荷室の狭さ)
- 【理由3】価格設定の割高感とコスパの課題
- 【理由4】MT・4WDモデルの廃止といった走行性能の選択肢の減少
- 【理由5】SUV人気に押されるハッチバック市場全体の低迷
以下より、詳しく解説します。
【理由1】デザインの好みが分かれるスポーティな外観
カローラスポーツの最大の特徴は、従来のカローラのイメージを大きく覆すアグレッシブなデザインです。
低く構えたフロントノーズ、シャープなヘッドライト、大型のフロントグリルなど、スポーティさを前面に押し出したデザインは、確かに目を引きます。
しかし、このデザインこそが「カローラらしくない」という評価につながり、従来のカローラユーザーから敬遠される要因となっています。
- 全高1,460mmの低いルーフライン
- クーペ風のシルエット
- 大径18インチホイール(一部グレード)
- アグレッシブなフロントマスク
特に50代以上の層からは「派手すぎる」「落ち着きがない」といった声が聞かれ、カローラブランドに求められる実用性や親しみやすさとのギャップが生じています。
車男爵
【理由2】実用性よりも「走り」を重視した設計(後席・荷室の狭さ)
カローラスポーツが最も批判される点は、後部座席の狭さと荷室容量の少なさです。
スタイリッシュなフォルムを優先したパッケージングにより、後席の居住性は大きく犠牲になっています。
- 後席の足元スペースが極端に狭い(身長170cm以上では窮屈)
- 後席の頭上空間も余裕がない
- 荷室容量は352L(ハイブリッドは301L)とクラス最小レベル
- 後席の乗降性も悪い(ドアの開口部が狭い)
実際のユーザーからは「後部座席が狭いのはしょうがないが、ドアの開きが悪い」「常時4~5人乗るのには向いていない」といった声が多く聞かれます。
車男爵
同クラスのマツダ3やインプレッサと比較しても、カローラスポーツの後席空間は明らかに狭く、ファミリー層には選ばれにくい車となっています。
【理由3】価格設定の割高感とコスパの課題
カローラスポーツの価格設定も、販売不振の大きな要因となっています。
エントリーグレードのG”X”でも220万円(税込)からという価格は、「カローラ」というブランドに対する期待値を考えると割高に感じられます。
グレード | 価格(税込) | 主な装備 |
G”X”(1.8L HEV) | 2,200,000円~ | 基本装備のみ |
G(1.8L HEV) | 2,550,000円~ | LEDフォグランプ等追加 |
G”Z”(1.8L HEV) | 2,890,000円~ | 18インチホイール等 |
さらに、装備面でも競合車と比較して特別優れているわけではなく、コストパフォーマンスの面で疑問符がつく状況です。
車男爵
参考
トヨタ カローラ スポーツの価格・新型情報・グレード諸元価格.com
【理由4】MT・4WDモデルの廃止といった走行性能の選択肢の減少
カローラスポーツは当初、6速MT(iMT)や4WDモデルも設定されていましたが、これらは販売不振により廃止されてしまいました。
- 6速MT(iMT)モデル ⇒ 2022年頃に廃止
- 4WDモデル ⇒ 2022年の一部改良で廃止
- 1.2Lターボエンジン ⇒ 2024年の改良で廃止
特にMTモデルの廃止は、「スポーツ」を名乗りながら走りを楽しめないと言うことを意味し、車好きからの失望を招きました。
4WDモデルの廃止も、雪国や山間部での需要を切り捨てることになり、販売機会の損失につながっています。
車男爵
【理由5】SUV人気に押されるハッチバック市場全体の低迷
カローラスポーツの販売不振は、ハッチバック市場全体の低迷という大きな流れの中で起きています。
日本市場では、かつて人気だったハッチバックが年々減少し、代わりにSUVが台頭してきました。
- 2020年上半期の販売台数TOP50にハッチバックはわずか5車種
- TOP10に入ったハッチバックはカローラのみ
- 若者の車離れとSUV人気が影響
- 軽自動車の高性能化も影響
「軽自動車とSUVしか売れない」と言われる現在の日本市場では、カローラスポーツのようなCセグメントハッチバックは構造的に不利な立場にあります。
車男爵
売れないは誤解?カローラスポーツの本当の価値と魅力
ここまでカローラスポーツが売れない理由を見てきましたが、実はこの車には知られざる魅力と実力が隠されています。
販売台数だけでは測れない、カローラスポーツの本当の価値と魅力について、4つの観点から詳しく解説していきます。
- 【魅力1】TNGAプラットフォームがもたらす高い走行性能と安定した走り
- 【魅力2】洗練されたデザインと質感の高い内装
- 【魅力3】ハイブリッドモデルの優れた燃費性能と静粛性
- 【魅力4】充実した安全装備「Toyota Safety Sense」
以下より、詳しく解説します。
【魅力1】TNGAプラットフォームがもたらす高い走行性能と安定した走り
カローラスポーツの最大の魅力は、TNGAプラットフォームによる優れた走行性能です。
TNGAとは「Toyota New Global Architecture」の略で、トヨタが開発した新世代プラットフォームのことを指します。
- 低重心設計による優れた操縦安定性
- 高剛性ボディによる上質な乗り心地
- 優れた重量バランスで意のままの走り
- 横揺れの少ない快適な乗り心地
実際に運転してみると、カローラとは思えないほどのしっかりとした走りを体感できます。
コーナリング時の安定感、直進安定性、そして乗り心地のバランスは、同クラスの中でもトップレベルです。
車男爵
【魅力2】洗練されたデザインと質感の高い内装
外観の好みは分かれるものの、内装の質感は同クラスでも高いレベルにあります。
特に運転席周りの作り込みは秀逸で、スポーティでありながら上質な空間を演出しています。
- ドライバー中心の機能的なレイアウト
- 質感の高いソフトパッド素材の多用
- スポーティなステアリングホイール
- 視認性の良いメーター類
インテリアカラーは、ブラックを基調としたシンプルな構成ですが、各部の仕上げは丁寧で、価格以上の満足感を得られます。
車男爵
【魅力3】ハイブリッドモデルの優れた燃費性能と静粛性
カローラスポーツのハイブリッドモデルは、優れた燃費性能と高い静粛性を実現しています。
1.8Lエンジンとモーターを組み合わせたハイブリッドシステムは、力強い走りと低燃費を両立させています。
項目 | 数値 | 備考 |
WLTCモード燃費 | 27.2km/L | G”Z”グレード |
実燃費(平均) | 20~23km/L | ユーザー報告値 |
システム最高出力 | 140PS | エンジン+モーター |
実際のユーザーからも「実燃費が20~23km/Lと安定して高水準」という評価を得ており、経済性の面では非常に優秀です。
車男爵
【魅力4】充実した安全装備「Toyota Safety Sense」
カローラスポーツは、最新の予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」を全車標準装備しています。
この充実した安全装備は、日々の運転に安心感をもたらしてくれます。
- プリクラッシュセーフティ(自動ブレーキ)
- レーントレーシングアシスト(車線維持支援)
- オートマチックハイビーム
- ロードサインアシスト(標識読み取り)
- レーダークルーズコントロール
2018年度のJNCAP予防安全性能評価では、最高得点で「ASV+++」を獲得するなど、その性能は第三者機関からも高く評価されています。
車男爵
参考
最新の「Toyota Safety Sense」を搭載したカローラ スポーツ、JNCAP予防安全性能評価において最高得点で「ASV+++」を獲得トヨタ自動車株式会社
カローラスポーツが売れないからこそ手に入るメリットとは?
販売台数が伸び悩んでいるカローラスポーツですが、「売れない」ことが逆にメリットになる部分もあります。
ここでは、あえて「売れない車」を選ぶことで得られる、意外なメリットについて解説していきます。
- 【メリット1】人とかぶりにくい「希少性」で個性を主張
- 【メリット2】意外に安定している?中古車市場のリセールバリューの傾向
以下より、詳しく解説します。
【メリット1】人とかぶりにくい「希少性」で個性を主張
カローラスポーツの販売台数が少ないということは、街中で同じ車とすれ違う機会が少ないということを意味します。
これは、個性を重視する人にとっては大きなメリットとなります。
- 駐車場で自分の車を見つけやすい
- 個性的な存在感をアピールできる
- オーナーズクラブなどでの結束感が強い
- カスタマイズしても目立ちやすい
特に都市部では、ヤリスやアクア、プリウスなどの人気車種が溢れている中で、カローラスポーツは確実に「違い」を演出できます。
車男爵
【メリット2】意外に安定している?中古車市場のリセールバリューの傾向
一般的に「売れない車」はリセールバリューが低いと思われがちですが、カローラスポーツは意外に安定したリセールバリューを維持しています。
トヨタブランドの信頼性と、ハイブリッドモデルの需要により、極端な値崩れは起きていないのが現状です。
経過年数 | G”Z”(HEV) | G(HEV) | G”X”(HEV) |
1年落ち | 75~80% | 70~75% | 65~70% |
3年落ち | 60~65% | 55~60% | 50~55% |
5年落ち | 45~50% | 40~45% | 35~40% |
特にリセールバリューに影響する要因として、以下のポイントが重要になります。
- グレード選択 ⇒ 上級グレード「G”Z”」が最も有利
- ボディカラー ⇒ ホワイトパールクリスタルシャイン、アティチュードブラックマイカが人気
- 走行距離 ⇒ 年間1万km以内が理想的
- オプション ⇒ 純正ナビ、本革シートなどが評価対象
- 整備記録 ⇒ ディーラー整備記録があると有利
実際の中古車市場を見ると、2021年式のG”Z”(走行3万km)が200万円前後で取引されており、新車価格289万円から計算すると約69%の残価率となっています。
これは同クラスのマツダ3(60-65%)やインプレッサ(55-60%)と比較しても、トヨタ車としての安定感を示していると言えるでしょう。
- 特殊色は避ける ⇒ オキサイドブロンズメタリック等は需要が限定的
- 過度なカスタマイズ ⇒ エアロパーツや車高調整は評価が下がる
- 事故歴 ⇒ 軽微な修復歴でも10~20%の減額
- 喫煙車 ⇒ 臭いの問題で5~10%の減額要因
車男爵
また、今後のリセール予測としては、2024年の一部改良でガソリンモデルが廃止されたことにより、ハイブリッドモデルの希少価値が高まる可能性があります。
特に最終型となる2024年モデルは、将来的にプレミアがつく可能性も否定できません。
こんな人にはおすすめ!逆に買って後悔する人は?
カローラスポーツは、その特徴から向き不向きがはっきりと分かれる車です。
購入後に後悔しないためにも、自分のライフスタイルや価値観に合っているかをしっかりと見極めることが重要です。
- おすすめの人
- 買って後悔する人
以下より、それぞれのタイプについて詳しく解説します。
おすすめの人
カローラスポーツは、以下のような人に特におすすめできます。
- 走りの質を重視する人 ⇒ TNGAプラットフォームの恩恵を最大限に活かせる
- 1~2人での使用がメインの人 ⇒ 後席の狭さが問題にならない
- スポーティなデザインが好きな人 ⇒ アグレッシブな外観を楽しめる
- 燃費と走りのバランスを求める人 ⇒ ハイブリッドの高効率を活かせる
- 人と違う車に乗りたい人 ⇒ 希少性による個性を楽しめる
- 安全性能を重視する人 ⇒ 最新の安全装備を標準で享受できる
特に、「走りの楽しさ」と「日常の使いやすさ」のバランスを求める独身者や夫婦2人世帯には、最適と言えるでしょう。
車男爵
買って後悔する人
一方で、以下のような人はカローラスポーツを買って後悔する可能性が高いです。
- ファミリーカーとして使いたい人 ⇒ 後席の狭さが致命的
- 荷物を多く積む人 ⇒ 荷室容量が不足
- 雪国や山間部に住む人 ⇒ 4WDが選べない
- 維持費を最優先する人 ⇒ 3ナンバーで税金が高め
- 実用性重視の人 ⇒ スタイル優先の設計が不満に
- カローラの名前に期待する人 ⇒ 従来のイメージとは大きく異なる
特に「子供の送迎」や「家族でのお出かけ」を頻繁にする人は、確実に後悔することになるでしょう。
車男爵
カローラスポーツは次期モデルで売れないは解消されるか?
現行カローラスポーツの課題を踏まえ、次期モデルではどのような進化が期待できるのでしょうか。
ここでは、2026年頃に予想されるフルモデルチェンジの内容と、現在の課題がどのように改善される可能性があるかについて解説します。
- 2026年頃に予想されるフルモデルチェンジの概要
- 後席の広さや価格設定はどう変わる?
以下より、詳しく解説します。
2026年頃に予想されるフルモデルチェンジの概要
次期カローラスポーツは、2026年3月頃の発売が予想されており、大幅な進化が期待されています。
- 新開発1.5L直4エンジン ⇒ ダウンサイジングながら高出力化
- 次世代プラットフォーム ⇒ ギガキャスト技術による軽量・高剛性化
- AI対応インフォテインメント ⇒ 最新のコネクテッド機能
- 電動化の推進 ⇒ HEVとPHEVの設定
特に注目されるのは、新開発のエンジンによる燃費性能の大幅向上で、一部では「ガソリン満タンで2,100km超え」という驚異的な数値も噂されています。
車男爵
後席の広さや価格設定はどう変わる?
現行モデルの最大の課題である後席の狭さと価格設定について、次期モデルではどのような改善が期待できるでしょうか。
- 後席スペース ⇒ プラットフォーム改良により若干の改善は期待できるが、劇的な変化は難しい
- 価格設定 ⇒ 新技術導入により、さらなる価格上昇の可能性
- カローラスポーツ自体の廃止説 ⇒ GRカローラへの統合の可能性も
残念ながら、スポーティなデザインを維持する限り、後席の大幅な改善は期待できないというのが現実的な見方です。
むしろ、一部では「次期型ではスポーツは廃止され、GRカローラに統合される」という情報もあり、カローラスポーツという車名自体が消滅する可能性も指摘されています。
車男爵
参考
「5ナンバー仕様は残る」…ってマジで!?? 次期カローラを大胆予想! 2026年頃発売ベストカー
まとめ
カローラスポーツが「売れない不人気車」と言われる理由と、その本当の魅力について詳しく解説してきました。
確かにカローラスポーツには、後席の狭さ、価格の割高感など、日本市場では不利となる要素が多く存在します。
しかし同時に、TNGAプラットフォームによる優れた走行性能、高い安全性能、優秀な燃費性能など、知られざる魅力も数多く持ち合わせています。
- 売れない理由 ⇒ 実用性の低さ、価格設定、市場トレンドとのミスマッチ
- 隠れた魅力 ⇒ 走行性能、安全装備、燃費性能、希少性
- 向いている人 ⇒ 走りを楽しみたい1~2人世帯
- 向いていない人 ⇒ ファミリー層、実用性重視の人
「売れない」という評価に惑わされず、実際に試乗して、その走りの質の高さを体感してみることをおすすめします。