マツダCX-5の購入を検討している方の多くが悩むのが「ガソリンとディーゼル、どっちを選ぶべきか」という点でしょう。
価格差は約30万円、燃費差は1Lあたり3~4km、そして走行性能や維持費にも大きな違いがあります。
この記事では、基本スペックから燃費・維持費、走行性能、使用シーン別のおすすめまで、CX-5のガソリンとディーゼルを徹底比較します。
車男爵
マツダCX-5のガソリン・ディーゼル|基本スペック比較
CX-5には豊富なエンジンラインナップが用意されており、それぞれに特徴があります。まずは基本的なスペックから比較していきましょう。
- エンジンラインナップ
- 出力・トルク
- 車両重量
- 燃料タンク・種類
- 新車価格・税金
以下より、それぞれの詳細について解説していきます。
エンジンラインナップ
現行型CX-5には、4種類のエンジンがラインナップされています。
- SKYACTIV-G 2.0L ⇒ 自然吸気ガソリンエンジン(ベースグレード)
- SKYACTIV-G 2.5L ⇒ 自然吸気ガソリンエンジン(主力グレード)
- SKYACTIV-G 2.5T ⇒ ターボガソリンエンジン(高性能グレード)
- SKYACTIV-D 2.2 ⇒ クリーンディーゼルターボエンジン
この中で、最も多く選ばれるのが2.5Lガソリンと2.2Lディーゼルです。
2.0Lガソリンはエントリーグレード、2.5Lターボは限定的な特別仕様車での設定となっているため、実質的な選択肢は2.5Lガソリンと2.2Lディーゼルの2つと考えて良いでしょう。
出力・トルク
エンジンの基本性能を比較してみます。
エンジン | 最高出力 | 最大トルク | 特徴 |
2.5L ガソリン | 138kW(188PS) /6,000rpm |
250N・m(25.5kgf・m) /4,000rpm |
高回転型、スムーズな加速 |
2.2L ディーゼル | 140kW(190PS) /4,500rpm |
450N・m(45.9kgf・m) /2,000rpm |
低回転型、太いトルク |
最高出力はほぼ互角ですが、トルクは圧倒的にディーゼルが勝っています。
ディーゼルエンジンは2,000rpmという低回転から450N・mの太いトルクを発生するため、実用的な加速感や荷物を積んだ時の余裕に大きな差が出ます。
一方、ガソリンエンジンは6,000rpmまで気持ちよく回る特性があり、高回転域での伸び感やレスポンスの良さが魅力です。
車両重量
車両重量もエンジンの違いによって差があります。
- 2.5L ガソリン(2WD) ⇒ 約1,540kg
- 2.5L ガソリン(4WD) ⇒ 約1,620kg
- 2.2L ディーゼル(2WD) ⇒ 約1,570kg
- 2.2L ディーゼル(4WD) ⇒ 約1,650kg
ディーゼルエンジンの方が約30kg重い設計となっています。これは、ディーゼルエンジンの構造上、より丈夫な部品が必要なためです。
ただし、この重量差は走行性能に大きな影響を与えるレベルではなく、むしろディーゼルの太いトルクが重量増をカバーしています。
燃料タンク・種類
燃料タンク容量と使用燃料にも違いがあります。
エンジン | 燃料タンク容量 | 使用燃料 | 燃料価格目安 |
ガソリン | 58L | レギュラーガソリン | 約170円/L |
ディーゼル | 58L | 軽油 | 約150円/L |
燃料タンク容量は同じ58Lですが、軽油の方がガソリンより1Lあたり約20円安い点が大きな違いです。
この燃料価格の差は、後述する燃料費の計算において重要な要素となります。
また、軽油を扱っていないガソリンスタンドは稀ですが、地方では軽油の取り扱いがない小規模なスタンドもまれにあるため、給油時の利便性は若干ガソリンが上と考えられます。
新車価格・税金
購入時の価格差と税制面での違いを確認しましょう。
項目 | ガソリン | ディーゼル | 差額 |
新車価格帯 | 281~350万円 | 313~422万円 | 約30万円高 |
自動車税 | 45,000円/年 | 45,000円/年 | 同額 |
エコカー減税 | 対象外 | 対象 | 約2~5万円差 |
ディーゼルの方が新車価格で約30万円高いのが最大の違いです。
一方で、ディーゼルはエコカー減税の対象となるため、重量税や取得税で2~5万円程度の優遇を受けることができます。
実質的な価格差は約25~28万円程度と考えるのが適切でしょう。
燃費と維持費の比較|コスパが良いのはどっち?
購入検討時に最も気になるのが、燃費性能と維持費の違いでしょう。カタログ値と実際の使用での燃費、そして具体的な燃料費までを詳しく比較します。
- カタログ燃費
- 実燃費・燃料代
- 燃料費試算
- 維持費
ここからは、実際のコストパフォーマンスを数値で比較していきます。
カタログ燃費
WLTCモードでのカタログ燃費を比較します。
エンジン | 2WD | 4WD | 燃費差 |
2.5L ガソリン | 14.6km/L | 14.0km/L | – |
2.2L ディーゼル | 17.4km/L | 16.6km/L | +2.8~2.6km/L |
ディーゼルがガソリンより約3km/L優秀という結果です。
WLTCモードは実際の使用状況に近い測定方法のため、この数値は実燃費の参考にもなります。
実燃費・燃料代
e燃費やみんカラなどの実燃費データを集計した結果です。
エンジン | 街乗り | 郊外・高速 | 総合平均 |
2.5L ガソリン | 11~12km/L | 14~15km/L | 12.5km/L |
2.2L ディーゼル | 14~15km/L | 18~20km/L | 16.5km/L |
実燃費でもディーゼルが約4km/L優秀という結果になりました。
特に高速道路での燃費差は大きく、ディーゼルが圧倒的に有利です。これは、ディーゼルエンジンの低回転トルク特性が高速巡航に適しているためです。
燃料費試算
年間走行距離別に、具体的な燃料費を試算してみましょう。
年間走行距離 | ガソリン燃料代 | ディーゼル燃料代 | 年間差額 |
10,000km | 136,000円 | 91,000円 | 45,000円差 |
15,000km | 204,000円 | 136,000円 | 68,000円差 |
20,000km | 272,000円 | 182,000円 | 90,000円差 |
※ガソリン170円/L、軽油150円/Lで計算
年間走行距離が多いほど、ディーゼルの経済メリットが大きくなります。
購入時の価格差約30万円を燃料費で回収するには以下の期間が必要です。
- 年間10,000km ⇒ 約6.7年で回収
- 年間15,000km ⇒ 約4.4年で回収
- 年間20,000km ⇒ 約3.3年で回収
維持費
燃料費以外の維持費についても比較してみます。
項目 | ガソリン | ディーゼル | 備考 |
車検・メンテナンス | 10~12万円 | 12~15万円 | ディーゼルが若干高 |
エンジンオイル交換 | 5,000~7,000円 | 7,000~10,000円 | 年2回程度 |
自動車保険 | 5~8万円 | 5~8万円 | 同額 |
ディーゼルの方がメンテナンス費用は若干高くなります。これは、ディーゼル専用オイルの使用やDPF(排ガス後処理装置)のメンテナンスが必要なためです。
ただし、年間の差額は2~3万円程度であり、燃料費の差額と比較すると小さな金額です。
走行性能・快適性の比較|性能が良いのはどっち?
数値だけでは分からない、実際の運転感覚や快適性について比較します。加速感から乗り心地、静粛性まで、ドライビングエクスペリエンス全体を詳しく見ていきましょう。
- 加速・パワー感
- 乗り心地・ハンドリング
- 静粛性
- 4WD性能
実際の使用感に直結する性能面を詳しく解説します。
加速・パワー感
最高出力は互角でも、加速感には大きな違いがあります。
- 発進から中間加速まで穏やかで自然な加速
- 3,000rpm以上から力強さが増す
- 6,000rpmまで気持ちよく回る高回転型
- アクセルレスポンスが良好
- 発進から力強く、太いトルクを実感
- 2,000rpm~3,500rpmが最も力強い
- 高回転域での伸びは控えめ
- 坂道や重い荷物での余裕度が高い
街乗りや実用域では圧倒的にディーゼルが力強く、荷物を積んだ状態や坂道での差は歴然です。
一方、高回転域でのエンジンフィールを楽しみたい場合はガソリンが上でしょう。
乗り心地・ハンドリング
基本的なサスペンションセッティングは共通ですが、エンジンの重量配分により若干の違いがあります。
- ガソリン ⇒ 軽快なハンドリング、フロント部の軽さを感じる
- ディーゼル ⇒ どっしりとした安定感、直進性に優れる
どちらも十分に高い乗り心地レベルで、大きな差はありません。
強いて言えば、ディーゼルの方が高速巡航時の安定感が高く、ガソリンの方がワインディングでの軽快感がある程度の違いです。
静粛性
エンジンノイズには明確な違いがあります。
状況 | ガソリン | ディーゼル |
アイドリング時 | 非常に静か | 軽微なクラッター音 |
加速時 | スムーズな音質 | ディーゼル特有の音 |
高速巡航時 | 静粛性高い | ロードノイズが支配的 |
ガソリンエンジンの方が静粛性は優秀です。ただし、新型CX-5のディーゼルエンジンは大幅に静粛性が改善されており、実用上問題となるレベルではありません。
高速巡航時にはロードノイズの方が支配的になるため、両者の差は小さくなります。
4WD性能
CX-5の4WDシステム「i-ACTIV AWD」は、ガソリン・ディーゼル共通です。
- 基本性能 ⇒ 両者とも同レベルの悪路走破性
- 制御特性 ⇒ ディーゼルは低回転トルクで滑りにくい路面に有利
- レスポンス ⇒ ガソリンはアクセルワークの細かな調整がしやすい
本格的な悪路走行では、ディーゼルのトルク特性が有利に働きます。
一方、雪道などの滑りやすい路面での細かな制御は、ガソリンのレスポンスの良さが活かされる場面もあります。
マツダCX-5のガソリン・ディーゼルのメリット・デメリット
ここまでの比較を踏まえて、それぞれのメリット・デメリットを整理します。購入検討時の判断材料として、客観的な評価をお伝えします。
- ガソリンのメリット・デメリット
- ディーゼルのメリット・デメリット
それぞれの長所と短所を明確にしていきます。
ガソリンのメリット・デメリット
メリット
- 購入価格が安い ⇒ 約30万円の初期費用削減
- 静粛性が高い ⇒ エンジン音が静かで快適
- 燃料補給が容易 ⇒ 全国どこでもレギュラーガソリンが利用可能
- 短距離走行でも問題なし ⇒ ちょい乗りでのトラブルリスクが低い
- メンテナンスコストが安い ⇒ 年間2~3万円程度の差
初期費用を抑えたい方や、年間走行距離が少ない方にはガソリンが最適です。
特に年間10,000km未満の使用であれば、価格差を燃料費で回収するのに7年近くかかるため、ガソリンを選ぶのが合理的でしょう。
デメリット
- 燃費がディーゼルより劣る ⇒ 実燃費で約4km/L差
- 燃料代が高い ⇒ ガソリン価格は軽油より約20円/L高
- トルクが物足りない ⇒ 重い荷物や坂道で差を実感
- 長距離走行での経済性が悪い ⇒ 燃料費負担が大きい
年間走行距離が多い方や、荷物を多く積む機会が多い方にはデメリットが目立ちます。
ディーゼルのメリット・デメリット
メリット
- 優秀な燃費性能 ⇒ 実燃費16.5km/Lの高効率
- 燃料代が安い ⇒ 軽油価格でランニングコスト削減
- 力強いトルク ⇒ 低回転から450N・mの太いトルク
- 長距離走行での経済性 ⇒ 年間15,000km以上なら4年で価格差回収
- エコカー減税対象 ⇒ 重量税等で2~5万円の優遇
年間15,000km以上走る方や、荷物を多く積む方にはディーゼルが断然おすすめです。
特に高速道路を多用する方にとって、燃費の良さと力強さの両立は大きなメリットとなります。
デメリット
- 購入価格が高い ⇒ 約30万円の初期費用アップ
- 短距離走行でDPF詰まりリスク ⇒ ちょい乗り中心だとトラブルの可能性
- エンジン音 ⇒ ディーゼル特有のクラッター音
- メンテナンス費が若干高い ⇒ 年間2~3万円程度アップ
短距離走行が中心の方には特に注意が必要です。DPF(排ガス後処理装置)の再生が十分に行われず、詰まりによるトラブルが発生する可能性があります。
選ぶならどっち?使用シーン別のおすすめ
これまでの比較結果を踏まえて、具体的な使用シーン別におすすめエンジンをお伝えします。
- 街乗り・短距離中心なら「ガソリンエンジン」
- 長距離・高速多用「ディーゼルエンジン」
- 荷物・牽引が多い「ディーゼルエンジン」
- 雪道・悪路「用途により選択」
以下より、それぞれの使用パターンについて詳しく解説していきます。
街乗り・短距離中心なら「ガソリンエンジン」
年間走行距離10,000km未満の方には、ガソリンエンジンを強く推奨します。
最大の理由は経済性です。ディーゼルとの価格差約30万円を燃料費で回収するには6~7年という長期間が必要となり、車の買い替えサイクルを考えると現実的ではありません。
また、短距離走行が中心となる使用パターンでは、ディーゼルエンジンのDPF(排ガス後処理装置)が十分に再生されず、詰まりによるトラブルが発生するリスクがあります。
初期費用を約30万円削減できることで、その分をオプション装備やアクセサリー、他の用途に活用することが可能です。
さらに、ガソリンエンジンは特別なメンテナンスの注意点が少なく、日常的な使用において気を遣う必要がありません。
車男爵
長距離・高速多用「ディーゼルエンジン」
年間走行距離15,000km以上、または高速道路を頻繁に使用する方にはディーゼルエンジンがおすすめです。
経済性の面では、価格差約30万円を4~5年という現実的な期間で回収することができ、その後は年間6~9万円という大幅な燃料代削減効果を享受できます。
高速道路での燃費は特に優秀で、実燃費18~20km/Lという数値は同クラスのSUVとしては非常に高い水準です。
走行性能の面でも、低回転から発生する450N・mの太いトルクにより、高速巡航時の加速や追い越しが非常に楽になります。長距離運転時の疲労軽減効果も大きく、余裕のあるパワーで安心して運転を続けることができます。また、ディーゼルエンジンの特性上、高速巡航時には静粛性も向上し、快適な移動を実現します。
車男爵
荷物・牽引が多い「ディーゼルエンジン」
重い荷物を積む機会が多い方、トレーラー牽引を行う方にはディーゼルエンジン一択です。
ディーゼルエンジンの最大の武器である低回転から発生する450N・mの太いトルクは、重量物輸送において圧倒的な余裕をもたらします。ガソリンエンジンの250N・mと比較すると、実に1.8倍のトルクを誇り、重い荷物を積んだ状態での発進加速や坂道での走行において明確な差を実感できます。
キャンピングトレーラーや重い荷物を牽引する際の加速性能も優秀で、坂道でも安心してアクセルを踏むことができます。
また、重い荷物を積んだ状態でも燃費の悪化が比較的少なく、経済性の面でもメリットがあります。ディーゼルエンジンは高負荷での使用を前提とした設計となっており、耐久性の面でも安心して使用できます。
車男爵
雪道・悪路「用途により選択」
雪道や悪路での使用では、用途に応じて最適解が変わります。
ディーゼルエンジンが向いている場合
本格的な悪路走行や雪道での登坂が多い場合は、ディーゼルエンジンの低回転トルクが威力を発揮します。
深い雪や泥沼からの脱出時には、低い回転数から太いトルクを発生させることで、タイヤを空転させることなくスムーズに抜け出すことができます。また、重い荷物を積んだ状態での悪路走行では、余裕のあるパワーで安定した走行が可能です。
ガソリンエンジンが向いている場合
一方、市街地中心の雪道走行では、ガソリンエンジンのレスポンスの良さが活かされます。アイスバーンなどの滑りやすい路面では、細かなアクセルワークによる微調整が重要となり、ガソリンエンジンの良好なレスポンス特性が制御のしやすさにつながります。
また、雪道でも運転の楽しさを求める場合は、軽快な走行感を持つガソリンエンジンが適しているでしょう。
車男爵
まとめ
CX-5のガソリンとディーゼル選択は、使用パターンと年間走行距離が最も重要な判断基準となります。
- 年間10,000km未満・街乗り中心 ⇒ ガソリンエンジンが経済的
- 年間15,000km以上・長距離多用 ⇒ ディーゼルエンジンが断然有利
- 荷物運搬・牽引が多い ⇒ ディーゼルの太いトルクが必須
- 初期費用を抑えたい ⇒ ガソリンで約30万円の節約
価格差約30万円は、年間走行距離15,000km以上なら4~5年で回収可能ですが、10,000km未満だと7年近くかかるため、長期的な視点での判断が重要です。
燃費だけでなく、走行性能・快適性・メンテナンス性も含めて総合的に判断することで、あなたのカーライフに最適なCX-5を選択できるでしょう。
購入前には必ず試乗して、実際の加速感や静粛性を体感することをおすすめします。数値では分からない運転の質感の違いも、選択の重要な要素になります。