マツダCX-5のディーゼルエンジンモデルは、その力強いトルクと優れた燃費性能で多くのドライバーから支持を集めています。
しかし一方で、「CX-5ディーゼルを買って後悔した」という声も少なからず聞かれるのが現実です。
ディーゼル特有の特性を理解せずに購入すると、思わぬトラブルや維持費の負担に直面する可能性があります。
この記事では、CX-5ディーゼルで後悔する主な理由から、それでも選ばれるメリット、向いている人・向かない人の特徴まで、購入前に知っておくべきポイントを詳しく解説します。
車男爵
CX-5ディーゼルで後悔したと言われる4つのポイント
CX-5ディーゼルで後悔する声の多くは、ディーゼルエンジン特有の特性を十分に理解せずに購入したことが原因です。
特に以下の4つのポイントで不満を感じるオーナーが多く見られます。
- 短距離メインだと煤(スス)詰まり・DPF警告灯のリスク
- オイル交換頻度など維持費が意外にかかる
- エンジン音・振動など静粛性で不満を感じる場合も
- その他のデメリット(暖気時間・車両価格・リセールなど)
以下より、それぞれの問題について詳しく解説していきます。
短距離メインだと煤(スス)詰まり・DPF警告灯のリスク
CX-5ディーゼルで最も多い後悔の理由は、DPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)関連のトラブルです。
DPFとは、ディーゼルエンジンの排気ガスに含まれる煤(PM:粒子状物質)を捕集し除去する装置で、環境基準を満たすために欠かせない重要な部品です。
- 短距離走行が続くとDPF内に煤が蓄積
- DPF再生(煤を燃焼除去する機能)が正常に作動しない
- メーター内にDPF警告灯が点灯
- ディーラーでの清掃・修理が必要(数万円の費用)
DPF再生には「自動再生」と「手動再生」がありますが、いずれも一定の走行条件が必要です。
マツダの取扱説明書によると、DPF再生は一般的に高速道路などでの連続走行中に自動的に行われます。
しかし、日常的に10km以下の短距離走行や市街地での渋滞走行が中心の場合、DPF再生に必要な排気温度に達せず、煤が蓄積し続けることになります。
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実際のオーナーからは「年に2-3回DPF警告灯が点灯し、そのたびにディーラーに行くのが面倒」「平成25年登録のCX-5でDPF内にPMが過堆積し、警告灯が点灯した」といった報告が寄せられています。
オイル交換頻度など維持費が意外にかかる
CX-5ディーゼルの維持費について、「ガソリン車より安い」と思い込んで購入し、実際の費用に驚くオーナーも少なくありません。
確かに燃料代は安くなりますが、メンテナンス面でガソリン車にはない費用がかかります。
- 専用エンジンオイル ⇒ ガソリン車用より高価格
- オイル交換頻度 ⇒ 5,000km程度でガソリン車より頻繁
- DPF清掃・交換 ⇒ 数万円~十数万円の費用
- 燃料系統の清浄 ⇒ ディーゼル専用添加剤が必要
マツダの公式マニュアルでは、CX-5ディーゼル車には「純正モーターオイルゴールデンECO SN」の使用が推奨されており、表に記載されていないエンジンオイルを使用するとDPFの劣化が早くなる可能性があると明記されています。
年間の維持費比較では、一般的にディーゼル車の方が燃料代で有利ですが、メンテナンス費用を含めた総合的な維持費では、思ったほどの差がつかない場合もあります。
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エンジン音・振動など静粛性で不満を感じる場合も
現代のディーゼルエンジンは従来と比べて大幅に静粛性が向上していますが、それでもガソリンエンジンと比較すると独特のエンジン音や振動があります。
CX-5の場合、マツダのSKYACTIV-D技術により相当な静粛性を実現していますが、音に敏感な方や静かな車内環境を重視する方には気になる場合があります。
- アイドリング時のディーゼル特有のエンジン音
- 急加速時のエンジン音の変化
- 冷間始動時の音と振動
- 停車時にエンジンルームから聞こえる作動音
実際のオーナーからは「静粛性について、ガソリン車から乗り換えると違いを感じる」「音質がガソリンエンジンと異なるため、慣れるまで時間がかかった」といった声があります。
ただし、これは個人の感覚による部分が大きく、「むしろディーゼルらしい音が好き」という意見もあり、評価が分かれるポイントでもあります。
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その他のデメリット(暖気時間・車両価格・リセールなど)
上記以外にも、CX-5ディーゼルには以下のようなデメリットがあります。
- 暖気時間が必要 ⇒ 冬季は始動後の暖機運転が重要
- 車両価格が高い ⇒ 同グレードのガソリン車より約50万円高
- 寒冷地での始動性 ⇒ 極寒時の始動に時間がかかる場合
- リセール価値 ⇒ 地域によってはディーゼル車の需要が限定的
車両価格については、XDグレードとガソリン車の25Sグレードを比較すると、約50万円の価格差があります。
この差額を燃料代の節約で回収するには、年間走行距離によっては5年以上かかる計算になります。
寒冷地での使用については、現代のディーゼルエンジンは始動性が大幅に改善されているものの、氷点下が続く地域では始動に時間がかかったり、暖機運転がより重要になったりする場合があります。
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それでもCX-5ディーゼルが選ばれるメリット・魅力
デメリットがある一方で、CX-5ディーゼルにはガソリン車では味わえない魅力的なメリットが数多くあります。
これらのメリットを理解し、自分の使用スタイルに合致すれば、非常に満足度の高い車となるでしょう。
- 圧倒的なトルクと力強い走り
- 高速巡航で光る燃費性能の良さ
- 燃料代が安い&経済的なエコカー優遇
- 上質な内装・装備と長距離での疲労の少なさ
以下より、CX-5ディーゼルが多くのドライバーに愛される理由を詳しく解説します。
圧倒的なトルクと力強い走り
CX-5ディーゼルの最大の魅力は、2.2Lディーゼルターボエンジンが生み出す圧倒的なトルクです。
SKYACTIV-D 2.2エンジンは最高出力175馬力・最大トルク42.8kgm(一部グレードでは450Nm)を発生し、これは4.0Lガソリンエンジン並みの強力なトルクに相当します。
- 高速道路の合流 ⇒ 余裕を持った加速で安全
- 坂道での走行 ⇒ 登り坂でも力強い加速
- 満員乗車時 ⇒ 人や荷物を積んでも走りに余裕
- 追い越し加速 ⇒ 中間加速の力強さが際立つ
実際のオーナーからは「大人が5人乗っていても1人で乗っている時と変わらない強力な加速を味わえる」「KEからの乗り換えで、以前にもましてディーゼルがもたらすトルクの凄さを感じた」といった評価が寄せられています。
特に低回転から最大トルクを発生するディーゼルエンジンの特性により、日常的な街乗りから高速走行まで、あらゆるシーンで余裕のある走りを実現しています。
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高速巡航で光る燃費性能の良さ
CX-5ディーゼルの燃費性能は、特に高速道路や長距離走行において真価を発揮します。
WLTCモード燃費では19.5km/L(2WD)を達成し、実燃費でも14.1km/L程度の優秀な数値を記録しています。
- 市街地走行 ⇒ 12-15km/L程度
- 高速巡航 ⇒ 18-22km/L程度
- 長距離混合走行 ⇒ 16-18km/L程度
- 最良条件 ⇒ 20km/L超えも可能
特に一定速度での巡航が中心となる高速道路では、ディーゼルエンジンの効率の良さが顕著に現れ、ガソリン車では実現困難な燃費数値を記録することができます。
実際のオーナーからは「高速道路メインの使用で20km/L以上を記録」「長距離ドライブでの燃費の良さに驚いた」といった報告が多数寄せられています。
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燃料代が安い&経済的なエコカー優遇
CX-5ディーゼルの経済性は燃費の良さだけでなく、軽油価格の安さとエコカー優遇措置によってさらに高まります。
2025年現在、軽油価格はガソリンより約20円/L安く設定されており、年間走行距離が多いほど燃料代の差は大きくなります。
- CX-5ディーゼル(14.1km/L、軽油110円/L) ⇒ 約78,000円
- CX-5ガソリン(11.2km/L、ガソリン130円/L) ⇒ 約116,000円
- 年間節約額 ⇒ 約38,000円
さらに、CX-5ディーゼルはエコカー減税の対象となっており、自動車重量税の免除や軽減措置を受けることができます。
これにより、車両価格の差額を燃料代と税制優遇で相殺しやすくなっています。
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上質な内装・装備と長距離での疲労の少なさ
CX-5ディーゴル車は、経済性や環境性能だけでなく、上質な内装と快適装備による長距離走行での疲労軽減効果も大きな魅力です。
現行型CX-5では静粛性が大幅に向上し、ディーゼル特有のエンジン音も上質に仕上げられています。
- 改良された静粛性 ⇒ 以前のモデルから大幅向上
- 上質なシート ⇒ 長時間座っても疲れにくい設計
- 充実した装備 ⇒ 運転支援システムやインフォテインメント
- 安定した走行フィール ⇒ ディーゼル車特有の落ち着いた走り
実際のユーザーレビューでは「新旧比べても静けさがかなり進んでおり、走行時の疲れが違う」「やはり燃費の良さと軽油価格の安さ、ハイブリッドをしのぐ燃費」といった評価が見られます。
また、ディーゼルエンジンの特性として、高速巡航時の安定感やトルクの余裕による運転の楽さも、長距離ドライブでの疲労軽減に大きく貢献しています。
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CX-5ディーゼルはどんな人に向いている?向かないかもしれない?
これまでの解説を踏まえ、CX-5ディーゼルがどのような使用スタイルの方に適しているか、逆にどのような方には向かないかもしれないかを整理してみましょう。
ディーゼル車の特性を理解し、自分の使用パターンと照らし合わせることが、後悔のない選択につながります。
- 向いている人
- 向かないかもしれない人
以下より、それぞれの特徴について詳しく説明していきます。
向いている人
CX-5ディーゼルは、以下のような使用スタイルや価値観をお持ちの方に特におすすめです。
- 年間走行距離が1万km以上 ⇒ 燃料代節約効果を実感できる
- 高速道路や長距離運転が多い ⇒ ディーゼルの真価を発揮
- 力強い走りを重視 ⇒ トルクフルな加速を楽しめる
- 燃料代を抑えたい ⇒ 軽油の価格メリットを活用
- 環境性能を重視 ⇒ CO2排出量の少なさを評価
特に年間走行距離が多い方にとって、CX-5ディーゼルは非常に魅力的な選択肢となります。
燃費性能と軽油価格のメリットが最大限に活かされ、車両価格差も比較的短期間で回収できるためです。
また、高速道路での移動が多い方や長距離ドライブを楽しむ方にとって、ディーゼルエンジンの余裕ある走りと優秀な燃費は大きな武器となります。
通勤で片道20km以上の距離を毎日走行する方や、月に数回は県外への移動がある方などは、CX-5ディーゼルのメリットを十分に享受できるでしょう。
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向かないかもしれない人
一方、以下のような使用スタイルの方には、CX-5ディーゼルは向かない可能性があります。
- 年間走行距離が5,000km以下 ⇒ 燃料代メリットが少ない
- 短距離(10km以下)の運転が中心 ⇒ DPFトラブルのリスク
- 静粛性を最重視 ⇒ ガソリン車の方が有利
- 初期費用を抑えたい ⇒ ガソリン車より約50万円高
- メンテナンスの手間を減らしたい ⇒ ガソリン車の方がシンプル
特に年間走行距離が少ない方や短距離移動が中心の方は、ディーゼル車のメリットを十分に活かすことができません。
むしろDPFトラブルのリスクや、メンテナンス費用の負担が大きくなる可能性があります。
買い物や送迎などで1回の走行距離が10km以下のことが多い方、週末にしか車を使わない方、年間走行距離が5,000km以下の方などは、ガソリン車を選択した方が満足度が高い可能性があります。
また、車内の静粛性を何より重視する方にとって、ディーゼル特有のエンジン音は気になる要素となる場合があります。
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ディーゼルvsガソリン|CX-5はどちらを選ぶべき?
CX-5のディーゼルとガソリンエンジン、どちらを選ぶべきかは使用パターンと優先する要素によって決まります。
ここでは主要な比較ポイントを整理し、判断の目安をご提示します。
- 燃費性能 ⇒ ディーゼル14.1km/L vs ガソリン11.2km/L
- 燃料代 ⇒ 軽油約110円/L vs ガソリン約130円/L
- トルク ⇒ ディーゼル42.8kgm vs ガソリン25.6kgm
- 車両価格 ⇒ ディーゼルが約50万円高
- 静粛性 ⇒ ガソリンが有利
- メンテナンス ⇒ ガソリンがシンプル
- 年間走行距離が1万km以上
- 高速道路や長距離運転が多い
- 力強い走りを重視する
- 燃料代を抑えたい
- 3年以上の長期使用を予定
- 年間走行距離が5,000km以下
- 短距離運転が中心
- 静粛性を最重視する
- 初期費用を抑えたい
- メンテナンスの手間を減らしたい
最終的な判断基準として、年間走行距離1万kmがディーゼルとガソリンの分岐点と考えるのが適切でしょう。
これ以上走行する場合はディーゼルのメリットが大きく、これ以下の場合はガソリン車の方が合理的な選択となる場合が多いです。
迷った場合は、自分の年間走行距離を正確に把握し、3年後までの使用パターンを想像してみることをおすすめします。
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まとめ
CX-5ディーゼルについて、デメリットとメリットの両面から詳しく解説してきました。
「後悔するかどうか」は、使用パターンとディーゼル車の特性がマッチするかどうかで決まります。
- 短距離・少走行距離の方 ⇒ DPFトラブルのリスクがあり、メリットを活かしにくい
- 長距離・多走行距離の方 ⇒ 燃費・トルク・経済性のメリットを十分に享受できる
- 静粛性重視の方 ⇒ ガソリン車の方が適している場合がある
- 力強い走り重視の方 ⇒ ディーゼルのトルクは大きな魅力
重要なのは、ディーゼル車の特性を正しく理解し、自分の使用スタイルと照らし合わせて判断することです。
年間走行距離1万km以上で、定期的に高速道路や長距離運転をする方であれば、CX-5ディーゼルは非常に満足度の高い選択となるでしょう。
逆に、年間走行距離が少なく短距離移動が中心の方は、ガソリン車を選択した方が後悔のない結果につながります。
どちらを選ぶにしても、購入前の試乗は必須です。
実際にエンジン音や走行フィール、操作感を体験し、自分の感覚に合うかどうか確認してください。
CX-5は、ディーゼル・ガソリンともに優秀なSUVです。適切な選択により、きっと満足のいくカーライフを送ることができるでしょう。