都会的なデザインと高級感で人気のハリアー。SUVならではの広い室内空間を活かして、車中泊に挑戦したいと考える人も多いのではないでしょうか。
しかし実際にハリアーで車中泊を経験した人からは、「思ったより寝づらい」「フルフラットにならない」といった声が聞かれます。
この記事では、ハリアーの車中泊が難しいとされる3つの構造的課題を明確にした上で、それぞれの課題を解決する具体的な対策方法を詳しく解説します。
また、車中泊を快適にするオプション装備や必須アイテムについても紹介していきます。
なぜハリアーで車中泊は難しいと言われるのか?3つの構造的課題
ハリアーは室内長1,880mm、室内幅1,520mmという広い室内空間を持つSUVですが、車中泊となると特有の課題があります。
実際にハリアーで車中泊を試みた多くのユーザーが指摘する、物理的な3つの問題点を詳しく見ていきましょう。
- 【課題1】フルフラットにならない「後部座席の傾斜」
- 【課題2】隙間により失われる「実効長の不足」
- 【課題3】タイヤハウスの張り出しによる「横幅の制約」
以下より、それぞれの課題について詳しく解説します。
【課題1】フルフラットにならない「後部座席の傾斜」
ハリアーの車中泊で最も多く指摘される問題が、リアシートを倒しても完全にフルフラットにならないという点です。
後部座席を前に倒してラゲッジスペースを拡大しても、シート面は車体前方に向かって高くなる傾斜が残ってしまいます。この傾斜角度は決して急ではありませんが、就寝時には予想以上に影響を与えます。
- 頭を前方(高い方)に向けると、寝ている間に体が下にずれる
- 足を前方に向けると、血流が悪くなりむくみやすい
- 横向きで寝ても、体が安定せず寝返りが打ちづらい
実際のユーザーレビューでも、「一晩寝ると体がだんだん下にずれていった」という報告があり、この傾斜が寝心地を悪化させる最大の原因となっています。
車中泊を快適に過ごすためには、この傾斜をいかに解消するかが重要なポイントになります。
【課題2】隙間により失われる「実効長の不足」
トヨタの公式発表では、ハリアーの荷室長(フロントシート最後端からバックドアトリム下端まで)は1,805mmとなっています。
しかし、この数値には重要な落とし穴があります。前席と後席の間に避けられない隙間があるため、実際に寝られる連続した床面は1,805mmより大幅に短くなるのです。
- 公称1,805mmは「空間としての最大長」であり、床面の長さではない
- 前席と後席の間に20~30cmの隙間(デッドスペース)が生じる
- この隙間により、連続した寝床として使える長さが制限される
- 身長180cmの人が真っ直ぐ寝ると、頭が隙間に落ちてしまう
実際に身長180cmの人が検証した結果、隙間を埋めない限り頭が浮いてしまい、そのままでは寝ることができないことが確認されています。
つまり、公称値だけを見て「180cmの人でも余裕」と考えるのは早計で、隙間対策なしには表記通りの長さを活用できないというのが現実です。
車男爵
【課題3】タイヤハウスの張り出しによる「横幅の制約」
ハリアーの荷室幅は公称1,005mm~1,265mmとなっていますが、後輪のタイヤハウスが荷室に張り出しているため、実際の使用可能幅は制限されます。
この構造的な特徴により、車中泊用のマットを敷く際に様々な問題が生じます。
- タイヤハウス部分の形状が斜めになっており、マットが浮き上がる
- マットを2枚並べるときに収まりが悪く、安定しない
- 横幅いっぱいにマットを敷けず、デッドスペースが生じる
- 2人で寝る場合、実質的な横幅が狭くなる
実際のユーザーレビューでも、「タイヤハウスが出ているのでマットが二枚敷けるか心配だった」「マットを2枚並べると浮き上がってしまう」という報告が多数あります。
車男爵
3つの構造的課題を解消!ハリアー車中泊を快適にする対策
前述した3つの構造的課題は、確かにハリアーの車中泊を難しくしていますが、適切な対策を講じることで快適な就寝環境を作ることは十分可能です。
ここでは、それぞれの課題に対する具体的な解決策を詳しく解説していきます。
- 【傾斜対策】厚手インフレーターマットで段差を吸収
- 【実効長対策】隙間を埋めて斜め寝で長さを確保
- 【横幅対策】タイヤハウスに対応したマット選びと配置の工夫
以下より、各対策について詳しく見ていきます。
【傾斜対策】厚手インフレーターマットで段差を吸収
ハリアーの傾斜問題を解決する最も効果的な方法は、厚手のインフレーターマットを使用することです。
インフレーターマットとは、バルブを開くだけで自動的に空気を取り込んで膨らむマットのことで、中にウレタンフォームが入っているため、エアーマットよりも安定感があります。
- 厚さ10cmのマットなら、傾斜を十分に吸収できる
- 高反発ウレタンが体重を分散し、沈み込みを防ぐ
- 空気量を調整して好みの硬さにできる
- 収納時はコンパクトになり、持ち運びも容易
複数のレビューサイトでの検証結果から、ハリアーの傾斜対策には最低でも厚さ8cm以上、できれば10cmのインフレーターマットが推奨されています。
薄いマットでは傾斜を吸収しきれず、結局体が下にずれてしまうため、初期投資として質の良い厚手マットを選ぶことが重要です。
人気のインフレーターマットブランドとしては、WAQ(10cm厚)、コールマン(10cm厚)、DOD(8cm厚)などがあります。価格は1万円~2万円程度が相場です。
【実効長対策】隙間を埋めて斜め寝で長さを確保
隙間により失われる実効長の問題は、「隙間を物理的に埋める」ことと「寝る向きを工夫する」という2つのアプローチで解決できます。
まず、前席と後席の間の隙間を埋める具体的な方法から見ていきましょう。
- 折りたたみ式の収納ボックスを隙間にぴったり収める
- キャンプ用品や衣類が入ったバッグを詰め込む
- 折りたたみ式の風呂フタを利用して平面を作る
- 専用の隙間クッションやボードを活用する
実際のユーザーからは、「折りたたみの風呂フタを利用してフロントシートまでの空間を埋めた」という工夫が報告されています。この方法なら、安価に隙間問題を解決できます。
次に、寝る向きの工夫について解説します。
- 1人の場合 ⇒ 運転席側から助手席側へ斜めに配置(対角線を活用)
- 2人の場合 ⇒ 隙間を埋めた上で、頭を前方に向けて並んで寝る
1人での車中泊なら、斜めに寝ることで実質的な長さを2,000mm以上確保できます。これなら身長180cm以上の方でも余裕を持って寝ることができます。
車男爵
【横幅対策】タイヤハウスに対応したマット選び
タイヤハウスの張り出しによる横幅の制約は、適切なサイズのマット選びで対処できます。
まず重要なのは、ハリアーの荷室形状に合ったマットを選ぶことです。
- 幅100cmのマットが収まりやすい
- 幅65cmのマット2枚の場合は厚みが8cm以上で底つき感が低減
- 柔軟性のあるインフレーターマットは形状に馴染みやすい
- ハリアー専用設計のマットなら、タイヤハウス部分を考慮済み
実際のユーザーレビューでは、「タイヤハウスが出ているが、マットを折り曲げて使うことで対応できた」という報告もあります。
車男爵
これらの対策を組み合わせることで、ハリアーの3つの構造的課題を克服し、快適な車中泊環境を作ることができます。
ハリアーで車中泊するなら付けておきたいオプション装備
快適な車中泊を実現するためには、車両購入時に選択できるメーカーオプション装備も重要な役割を果たします。
ここでは、車中泊を念頭に置いてハリアーを購入する際に、ぜひ検討したい4つのオプション装備を紹介します。
- AC100Vアクセサリーコンセント
- 調光パノラマルーフ
- 車内Wi-Fi
- ラゲージソフトトレイ
以下より、各オプション装備について詳しく解説します。
AC100Vアクセサリーコンセント
車中泊において最も重要なオプションが、AC100Vアクセサリーコンセントです。
ハリアーのハイブリッドモデルとPHEVモデルでは、最大1,500Wの電力供給が可能なコンセントをメーカーオプションで装着できます。これにより、車内で様々な電気製品を使用することができます。
- ハイブリッド/PHEV ⇒ AC100V・1,500W(非常時給電システム付)
- ガソリン車 ⇒ AC100V・100W
- 設置場所 ⇒ ラゲッジスペース右側
1,500Wの電力があれば、電気毛布、小型冷蔵庫、電気ケトル、炊飯器なども使用可能です。
特に冬場の車中泊では電気毛布が使えることで、エンジンを切った状態でも暖かく過ごせるため、燃料消費や騒音を気にせず快適に就寝できます。
車男爵
調光パノラマルーフ
調光パノラマルーフは、車中泊の快適性を大きく向上させる注目のオプション装備です。
このルーフは特殊な液晶を使用しており、スイッチ操作で透明と不透明を切り替えることができます。車中泊においては、開放感の演出と実用性の両面でメリットがあります。
- 室内高の圧迫感を視覚的に和らげる
- 夜は星空を眺めながら就寝できる
- 換気口として活用でき、車内の空気循環を改善
- 日中は自然光で車内が明るくなる
室内高が1,215mm(調光パノラマルーフ装着時は1,185mm)のハリアーでは、就寝時の圧迫感が気になる場合があります。
調光パノラマルーフがあることで、視覚的な開放感が得られ、狭さを感じにくくなります。
車内Wi-Fi
長時間の車中泊では、スマートフォンやタブレットでの動画視聴やインターネット利用が欠かせません。
ハリアーの車内Wi-Fiオプションを選択すれば、データ通信量を気にせず快適にネット環境を利用できます。
- データ通信量無制限で利用可能
- 最大5台まで同時接続可能
- 車がWi-Fiスポットとなり、同乗者全員が利用できる
- ディスプレイオーディオでWebサイト閲覧も可能
車中泊中の暇つぶしや情報収集、リモートワークなど、様々な用途で活用できます。
ただし、直近3日間で6GB以上の通信をした場合は速度制限がかかる可能性があるため、動画の見すぎには注意が必要です。
ラゲージソフトトレイ
ラゲージソフトトレイは、荷室全体を防水・防汚できるマット状のオプション装備です。
車中泊では荷室で過ごす時間が長くなるため、汚れや水濡れから車内を守る重要な役割を果たします。
- 泥汚れや水滴を気にせず荷物を積める
- 飲み物をこぼしても簡単に拭き取れる
- 車中泊後の掃除が格段に楽になる
- マットの下に小物を収納できる
アウトドア用品や濡れたレジャー用品をそのまま積んでも、車内を汚す心配がありません。
車中泊を頻繁に行う予定があるなら、ぜひ装着しておきたいオプションです。
快適な車中泊のためのおすすめアイテム
オプション装備に加えて、実際の車中泊では様々なグッズが必要になります。
ここでは、ハリアーでの車中泊をより快適にするための必須アイテムを7つ紹介します。
- 車中泊マット・エアーベッド
- 寝袋(シュラフ)・毛布
- プライバシーサンシェード・カーテン
- LEDランタン・追加照明
- ポータブル電源・大容量バッテリー
- 扇風機(夏の暑さ対策)
- 網戸ネット(虫よけグッズ)
以下より、それぞれのアイテムについて詳しく解説します。
車中泊マット・エアーベッド
前述の通り、ハリアーの傾斜と段差を解消するためには、厚手の車中泊マットが必須です。
インフレーターマット以外にも、エアーベッドという選択肢もあります。それぞれの特徴を理解して、自分に合ったものを選びましょう。
- インフレーターマット ⇒ 自動膨張式、安定感があり寝心地が良い
- エアーベッド ⇒ 厚さ20cm以上も可能、電動ポンプで簡単設営
- 推奨厚さ ⇒ 最低8cm、理想は10cm以上
ハリアーの荷室幅(1,005mm~1,265mm)に合わせて、適切なサイズを選ぶことも重要です。
タイヤハウスの張り出しを考慮すると、幅100cm程度のマットが収まりやすくなっています。
寝袋(シュラフ)・毛布
季節に応じた寝具の準備は、快適な睡眠のために欠かせません。
車内は外気温の影響を受けやすく、特に冬場は想像以上に冷え込むため、適切な保温対策が必要です。
- 春・秋 ⇒ 3シーズン用シュラフ(快適温度5~10℃)
- 夏 ⇒ 薄手のブランケットまたは夏用シュラフ
- 冬 ⇒ 冬用シュラフ(快適温度-5℃以下)+毛布の重ね使い
AC100Vコンセント装着車なら電気毛布も使用できるため、冬場の車中泊がより快適になります。
寝袋は封筒型を選ぶと、広げて掛け布団としても使用できて便利です。
プライバシーサンシェード・カーテン
車中泊において、プライバシーの確保は安全面でも精神面でも重要です。
外からの視線を遮ることで、安心して就寝できる環境を作ることができます。
- ハリアー専用設計のものを選ぶ(窓にぴったりフィット)
- 吸盤式よりもはめ込み式の方が隙間ができにくい
- 断熱効果のある素材なら、車内の温度管理にも効果的
- 収納袋付きなら、使わない時もコンパクトに保管可能
プライバシーシェードは防犯効果だけでなく、朝日を遮って睡眠時間を確保する効果もあります。
市販のハリアー専用シェードは1万円~2万円程度で購入できます。
LEDランタン・追加照明
ハリアーの室内灯だけでは、夜間の車内活動には光量が不足します。
LEDランタンがあれば、バッテリーを気にせず明るい照明を確保できます。
- 吊り下げ型ランタン ⇒ 車内の天井から吊るして全体を照らす
- マグネット式ライト ⇒ 金属部分に貼り付けて手元を照らす
- USB充電式 ⇒ 車のUSBポートから充電可能
- 明るさ調整機能付き ⇒ 就寝前は暗めに調整
200ルーメン以上の明るさがあれば、読書や食事も快適に行えます。
予備の電池やモバイルバッテリーも準備しておくと安心です。
ポータブル電源・大容量バッテリー
ガソリン車や、AC100Vコンセントを装着していない車両では、ポータブル電源が必要になります。
スマートフォンの充電はもちろん、扇風機や電気毛布なども使用できるようになります。
- 容量は500Wh以上が理想的
- AC出力ポート、USB-A、USB-Cポートがあるものを選ぶ
- ソーラーパネル充電対応なら、長期車中泊にも対応
- パススルー充電対応なら、充電しながら使用可能
価格は3万円~10万円程度と幅広いですが、使用頻度と必要な電力量を考慮して選びましょう。
ハイブリッド車でAC100Vコンセント装着車であれば、ポータブル電源は不要です。
扇風機(夏の暑さ対策)
夏場の車中泊では、エンジンを切ると車内温度が急激に上昇します。
USB給電式の小型扇風機があれば、空気を循環させて涼しく過ごすことができます。
- クリップ式 ⇒ ヘッドレストや手すりに固定可能
- 首振り機能 ⇒ 車内全体に風を送れる
- 静音設計 ⇒ 就寝時も音が気にならない
- 充電式 ⇒ コードレスで使用場所を選ばない
窓を少し開けて扇風機で空気を循環させることで、熱帯夜でも比較的快適に過ごせます。
複数台用意して、風の流れを作ることも効果的です。
網戸ネット(虫よけグッズ)
換気のために窓を開ける際、虫の侵入を防ぐ網戸ネットは必須アイテムです。
特に夏場のキャンプ場や山間部では、蚊やアブなどの虫対策が重要になります。
- 装着型網戸 ⇒ 窓枠にはめ込むタイプ、隙間なく防虫
- マグネット式ネット ⇒ 簡単着脱、収納も簡単
- 虫よけスプレー ⇒ 車内用の無香料タイプがおすすめ
- 電撃殺虫器 ⇒ USB給電式なら車内でも使用可能
ハリアー専用の網戸も販売されており、窓の形状にぴったりフィットするため、確実に虫の侵入を防げます。
価格は3,000円~5,000円程度で、夏場の車中泊には欠かせないアイテムです。
車男爵
まとめ
ハリアーの車中泊には「傾斜」「実効長の不足」「横幅の制約」という3つの構造的課題があることを解説しました。
しかし、これらの課題は適切な対策を講じることで十分に解決可能です。
- 傾斜対策として厚さ10cmのインフレーターマットを使用する
- 隙間を埋めて斜め寝することで実効長を確保する
- タイヤハウスに対応したマット選びと配置の工夫をする
特に重要なのは、「厚手マットによる段差吸収」と「安全な電源利用」の2点です。
ハイブリッドやPHEVモデルなら、1,500WのAC100Vコンセントを活用することで、エンジンを切った状態でも電気製品が使用でき、快適性が大幅に向上します。
また、調光パノラマルーフや車内Wi-Fiといったオプション装備、そして適切な車中泊グッズを組み合わせることで、ハリアーでも十分に快適な車中泊空間を作ることができます。
車男爵
この記事で紹介した対策を参考に、ぜひハリアーでの車中泊にチャレンジしてみてください。


