タイヤ交換を自分でやる人の割合は?アンケートで分かったDIY派の実態と失敗例

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タイヤ交換は車の維持に欠かせないメンテナンスですが、プロに依頼する人と自分で行う人に分かれています。

近年はDIY(Do It Yourself)志向の高まりとともに、タイヤ交換を自分で行う車オーナーも少なくありません。しかし、地域や年齢層、車への関心度によって、DIY率は大きく異なることが様々な調査から明らかになっています。

この記事では、タイヤ交換を自分でやる人の割合や実態、DIYするメリットとリスク、そして安全に行うための注意点について詳しく解説します。

【アンケート比較】タイヤ交換を自分でやる人の割合は?DIY率はなぜこんなに違う?

様々な機関・企業が行ったアンケート調査によると、タイヤ交換を自分でやる人の割合は調査対象によって大きく異なります。

  • MOTA調査|クルマ好き中心で59%が「自分で交換」
  • TIREHOOD調査|21.3%がDIY、78.7%は業者依頼
  • 雪国アンケ(新潟放送)|43%がDIY、スタッドレス文化で定着
  • Goodyear調査|男女差・年代差:女性は10%未満

以下より、詳しく解説します。

MOTA調査|クルマ好き中心で59%が「自分で交換」

自動車ポータルサイト「MOTA」が実施したアンケート調査によると、タイヤ交換を自分でやると答えた人の割合は59%と半数以上を占める結果となりました。

この調査では回答者の多くが自動車への関心度が高いユーザーであり、DIY志向の高さと必要な工具をすでに保有している人が多いことが特徴です。

車男爵

MOTAユーザーは平均的なドライバーより車への関心が高く、ジャッキやトルクレンチなどの工具を保有している割合も高いため、DIY率が突出しているのです。


参考
タイヤ交換を自分でやる人の割合はどれくらい? 調べてみたMOTA

TIREHOOD調査|21.3%がDIY、78.7%は業者依頼

タイヤ通販・交換予約サイト「TIREHOOD」が実施した調査では、タイヤ交換をDIYで行うユーザーは21.3%にとどまり、78.7%が業者に依頼していることが分かりました。

TIREHOODのユーザーは主にネット購入に慣れた都市部在住者が多く、「安全・確実性」を重視して業者依頼を選ぶ傾向が強く見られました。


参考
タイヤ交換する店舗選びで重視することは?ForDrivers

雪国アンケ(新潟放送)|43%がDIY、スタッドレス文化で定着

新潟放送(テレビ新潟)が雪国地域の住民を対象に実施したアンケートでは、約43%の回答者がタイヤ交換を自分で行うと回答しています。

積雪地域では年2回のタイヤ交換(夏冬の履き替え)が必須であるため、工賃の節約を目的としたDIY文化が根付いていることが背景にあります。

車男爵

雪国では年に2回のタイヤ交換が必須なので、工賃を節約するためにDIYが広く普及しています。工具の初期投資も数回で回収できるんですよ。


参考
スタッドレスタイヤ装着調査テレビ新潟

Goodyear調査|男女差・年代差:女性は10%未満

日本グッドイヤーが行った自動車保有者400名を対象とした調査によると、タイヤ交換の実施状況には明確な男女差と年代差が見られました。

自分でタイヤ交換を行う割合は50代男性が最も高く約45%である一方、女性全体では10%未満にとどまっています。

若年層や女性は「工具がない」「作業スペースがない」などを理由に依頼派が多い結果となりました。


参考
自動車を保有する男女400人に聞いた「タイヤ」に関する意識・実態調査日本グッドイヤー

DIY派と依頼派の費用・時間の比較とメリット

タイヤ交換をDIYで行うか業者に依頼するかの判断材料として、費用と時間の比較が重要です。両者にはそれぞれメリットがあります。

  • 費用・時間比較|16・18インチ4本の場合
  • DIYメリット

以下より、詳しく解説します。

費用・時間比較|16・18インチ4本の場合

項目 DIY カー用品店 タイヤショップ
初期費用 15,000~20,000円
(工具一式)
0円 0円
工賃(4本) 0円 約6,600円
(1本1,650円×4)
約5,500~6,600円
所要時間 60~90分 30~60分 30~40分
追加メリット 自分のペースで作業可能 点検・バランス調整 専門的アドバイス

工具は初期投資が必要ですが、何度でも使用可能なため、頻繁にタイヤ交換を行う場合はDIY派が経済的に優位になります。

特に雪国など年2回必ずタイヤ交換が必要な地域では、3~4回の交換で工具投資を回収できる計算になります。

車男爵

タイヤ交換の回数が多いほど、DIYの経済的メリットは大きくなります。ただし安全性は常に最優先で考えましょう。

DIYメリット

  • 工賃ゼロ(工具への投資は複数回使用で回収可能)
  • 自分のペースで作業可能(混雑期の予約待ちなし)
  • タイヤ点検・清掃も同時に実施可能(摩耗パターンや異物チェック)
  • 車やメンテナンスへの理解が深まる(自己成長)
  • スタッドレス履き替えが年2回ある地域では数年で投資回収(雪国では特に経済的)

自分で交換する手順

タイヤ交換をDIYで行うには、正しい手順と適切な工具の使用が必要不可欠です。基本的な作業手順は以下の通りです。

手順1
準備と安全確保
平らで硬い場所に車を停め、ハンドブレーキをかけ、輪止めを設置します。不安定な場所での作業は危険です。
手順2
工具の準備
ジャッキ、トルクレンチ、ホイールレンチ、輪止めなど必要な工具を揃えることが重要です。特にトルクレンチは必須です。
手順3
ナットを緩める
車体を持ち上げる前に、ホイールナットを対角順に少し緩めます。車が浮いた状態だとタイヤが回ってしまいます。
手順4
ジャッキアップ
指定のジャッキアップポイントにフロアジャッキをセットし、タイヤが地面から浮くまで持ち上げます。安全のためジャッキスタンドの使用を強く推奨します。
手順5
タイヤ交換
ナットを完全に外し、古いタイヤを取り外して新しいタイヤを取り付けます。ホイールとハブの接触面の汚れを落とすとよいでしょう。
手順6
ナットの仮締め
対角順にナットを手で締めます。この時点では強く締めすぎないようにしましょう。
手順7
ジャッキダウン
車体を下ろします。ジャッキスタンドを使用している場合は、先にジャッキスタンドを外します。
手順8
ナット本締め
トルクレンチで規定トルク(一般的に100~120N・m)で対角順に締めます。トルク管理が重要です。
手順9
空気圧チェック
タイヤゲージで空気圧を確認し、必要に応じて調整します。適正空気圧は車種により異なります。

より詳細な手順はブリヂストン公式サイトやオートバックス公式サイトの解説が参考になります。


参考
タイヤ交換の方法 – タイヤを知る(乗用車用)株式会社ブリヂストン


参考
タイヤのセルフ交換方法・付け替え方法オートバックス公式ブランドサイト

DIYでタイヤ交換する危険性や失敗例

タイヤ交換を自分で行う際には、様々なリスクや危険性が伴います。過去に発生した事故例や失敗事例を知ることで、安全に作業を行うための参考になります。

  • ジャッキ脱落事故:国交省報告で年10件以上の死亡・重傷
  • ナット締付け不足 → タイヤ脱落事例多数
  • TPMSセンサー破損・再設定不可のリスク
  • ランフラット/20インチ超はDIY困難
  • 工具誤使用でボルト折損 → ハブ交換で10万円超

以下より、詳しく解説します。

ジャッキ脱落事故:国交省報告で年10件以上の死亡・重傷

国土交通省の事故報告によると、タイヤ交換中のジャッキ脱落事故が年間10件以上発生しており、死亡事故や重傷事例も報告されています。

特に多いのは次の3つのケースです。

  • 安全ピン未装着での作業中の脱落
  • 傾斜地での作業による車両の滑り
  • 柔らかい地面でのジャッキ沈下による突然の落下

車男爵

人命に関わる事故が毎年起きています。絶対に安全対策を省略せず、硬い平らな場所でジャッキスタンドを併用すべきです!

ナット締付け不足 → タイヤ脱落事例多数

タイヤ交換後のホイールナットの締め付け不足は、走行中のタイヤ脱落事故につながる最も危険な失敗例です。

特にインパクトレンチなどの電動工具で締めた後にトルクレンチによる確認を怠った場合に多発しています。国土交通省の報告では、トラックなど大型車だけでなく、乗用車でも年間数十件の車輪脱落事故が報告されています。


参考
報道発表資料:冬用タイヤ交換時には確実な作業の実施をお願いします!国土交通省

TPMSセンサー破損・再設定不可のリスク

近年の多くの車両にはタイヤ空気圧モニタリングシステム(TPMS)が搭載されています。TPMS搭載車のタイヤ交換では、空気圧センサーが内蔵されたバルブを破損するリスクがあります。

バルブの破損やセンサー故障が発生した場合、修理費用は部品代+設定費用で8,000円~15,000円になることも珍しくありません。また、一部の車種では専用機器がなければ再設定が不可能な場合もあります。

ランフラット/20インチ超はDIY困難

ランフラットタイヤや20インチを超える大径タイヤは、特殊なビード落とし機器がなければ取り外しが極めて困難です。

これらのタイヤは側壁が硬く設計されているため、一般的な工具では安全にタイヤをホイールから取り外すことができません。無理に作業を行うと、タイヤやホイールの破損、さらには怪我につながる可能性があります。

車男爵

ランフラットタイヤの硬い側壁はDIYでの脱着が非常に困難です。特殊な機械がないとほぼ不可能なので、無理せずプロに依頼しましょう。

工具誤使用でボルト折損 → ハブ交換で10万円超

タイヤ交換時の誤った工具使用は、ホイールボルトやハブの破損につながることがあります。

特に多いのは次のケースです。

  • 締めすぎによるボルトやナットの破損
  • 斜め締めによるネジ山の潰れ
  • サイズの合わないレンチ使用によるナット頭部の摩耗

これらの破損が発生すると、ハブごと交換が必要になる場合もあり、修理費用が10万円を超えるケースもあります。

DIYでタイヤ交換する注意点

タイヤ交換をDIYで安全に行うためには、適切な工具の準備と正しい作業手順、そして注意点の理解が重要です。

  • 必要工具チェックリスト(トルクレンチ必須です。)推奨50~200ニュートン
  • 作業は水平で硬い路面+輪止めを必ず使用
  • 締付けトルクは取扱説明書記載値を厳守
  • 増し締めは走行50 km後に再確認が必要
  • TPMS搭載車は再同期が必要なことがある

以下より、詳しく解説します。

必要工具チェックリスト(トルクレンチ必須ですが、推奨50~200ニュートン必要)

タイヤ交換に最低限必要な工具は以下の通りです。

  • フロアジャッキ:7,000~12,000円程度(Amazon平均)
  • トルクレンチ:5,000~8,000円前後(50~200 ニュートンの範囲調整可能なもの)
  • ホイールレンチ(十字レンチ):1,000~3,000円程度
  • 輪止め:1,000円前後
  • ジャッキスタンド:5,000円前後(安全性向上のために強く推奨)

特にトルクレンチは安全のために必須アイテムです。ナットの締め付け不足や締めすぎを防ぐために、車種に合った適正トルクで締め付けることが重要です。

締付けトルクは取扱説明書記載値を厳守

ホイールナットの締付けトルクは、必ず車両の取扱説明書に記載された規定値を厳守してください。

一般的な乗用車の締付けトルクは100~120 ニュートン(ニュートンメートル)が多いですが、車種によって異なります。規定値より弱いと走行中に緩む危険があり、強すぎるとボルトが伸びたり破損したりする可能性があります。

車男爵

日本を代表するツールメーカーのKTCさんが、トルクレンチの使い方などについて記事を書いているので、気になる方は以下の参考記事からご覧ください。


参考
トルクレンチとは?種類や正しい使い方、保管方法についてKTC

作業は水平で硬い路面+輪止めを必ず使用

タイヤ交換作業は、必ず水平で硬い路面で行いましょう。傾斜のある場所や砂利、土の上での作業は非常に危険です。

また、作業するタイヤの対角線上のタイヤには必ず輪止めを設置してください。これにより車が動き出すのを防ぎ、安全に作業を行うことができます。

車男爵

傾斜地での作業は絶対NG!わずかな傾斜でも車が滑り出す危険性があります。必ず平坦で硬い地面で作業しましょう。

増し締めは走行50 km後に再確認が必要

タイヤ交換後、走行距離が50~100 kmに達したら必ずホイールナットの増し締めを行うことが重要です。

初回の締め付け後、実際の走行によってタイヤとホイールが馴染み、ナットが若干緩むことがあります。この「馴染み」による緩みを防ぐために、一定距離走行後の増し締めが必要です。

車男爵

タイヤ交換後50km走行後の増し締めは安全のための重要ステップです。たった5分の作業で大きな事故を防げます。

TPMS搭載車は再同期が必要なことがある

タイヤ空気圧モニタリングシステム(TPMS)を搭載した車両では、タイヤ交換後にセンサーとECUの再同期(リセット)が必要なことがあります。

特に以下のケースでは再同期が必要です。

  • タイヤのローテーション(位置変更)を行った場合
  • 新しいセンサーに交換した場合
  • タイヤを新品に交換した場合

再同期の方法は車種によって大きく異なり、一部の輸入車や高年式国産車ではOBD(車両診断)接続機器が必要な場合もあります。取扱説明書を確認するか、不明な場合はディーラーやカー用品店に相談しましょう。

まとめ

全国平均で見ると、タイヤ交換のDIY率は約40%程度と推測されますが、クルマへの関心度・地域・性別・年齢によって大きく異なります。

タイヤ交換DIYのメリットは明らかなコスト削減ですが、安全に行うための知識と適切な工具、そして注意点の理解が不可欠です。

【タイヤ交換方法の選択基準】

  • DIY向き:工具保有者、雪国居住、経験者、車に詳しい人
  • 業者依頼向き:都市部居住者、TPMS搭載車、20インチ超/ランフラット装着車、工具未保有者

「節約できるならやってみたい」という気持ちは理解できますが、失敗や事故のリスクを十分に理解した上で、自分の環境とスキルを正しく判断することが何より大切です。

工具の初期投資を回収する経済的メリットは確かにありますが、安全性を第一に考え、自分に最適な選択をしましょう。DIYに少しでも不安がある場合は、プロに依頼することをおすすめします。

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