タイヤ交換は自分でやりたいという方も多いですが、実は思わぬ危険やリスクが潜んでいるので、タイヤ交換は自分でしないほうがいいでしょう。
特に近年はジャッキ脱落事故や脱輪事故など深刻な事故が多発しており、DIYで行うタイヤ交換の危険性が改めて問われています。
車男爵
この記事では、タイヤ交換DIYの危険性を事故事例から検証し、プロに依頼するメリットを解説します。
タイヤ交換は自分でしないほうがいい|安全リスクが大きく総合的に損
結論から言うと、タイヤ交換は安全のためにプロの整備士に依頼することをおすすめします。
なぜなら、DIY作業による人身事故のリスクと、専門知識・設備不足による車両損傷のリスクが、工賃の節約分を大きく上回るからです。
ジャッキ脱落による死亡・重傷事故は2023年だけでも複数件報告されており、ホイールナットの締め付け不足による脱輪事故も少なくありません。
工具の誤使用によってボルト折損やTPMSセンサーの破損など、修理費用が10万円を超えるケースも発生しています。
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特に以下の方は、自分でのタイヤ交換を避けた方が安全です。
- 雪国にお住まいで年2回の履き替えが必要な方
- TPMS(空気圧センサー)搭載車をお持ちの方
- ランフラットタイヤや20インチ以上の大径タイヤをお使いの方
- 十分な作業スペース・工具がない方、または作業経験が少ない方
事実で見る危険性|死亡・重傷事故が後を絶たない
実際に起きた事故事例からタイヤ交換DIYの危険性を見ていきましょう。これらは決して「レアケース」ではなく、毎年各地で繰り返し発生している事故です。
- ジャッキ脱落事故(2023年だけで死亡2件・重傷多数)
- ホイールナット締付け不足で脱輪事故
- 工具誤使用でボルト折損(ハブ交換10万円超)
以下より、詳しく解説します。
ジャッキ脱落事故(2023年だけで死亡2件・重傷多数)
タイヤ交換中の最も危険な事故が、ジャッキ脱落による車両の下敷き事故です。2023年だけでも複数の死亡事故が報告されています。
2023年3月には北海道江差町において車体をジャッキアップした状態でバンパーとタイヤの交換をおこなっていた男性が下敷きになる死亡事故が発生。また同年4月には北海道小樽市で軽自動車のマフラー修理中にジャッキが外れ、クルマの下敷きになって男性が亡くなる事故が発生しています。
さらに11月には札幌市でクルマのタイヤ交換中に男性がクルマの下敷きになって亡くなる事故も起きました。これらはいずれも「ジャッキが外れたことが原因」とみられています。
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こうした事故の主な原因は次の3つです。
- リジッドラック(ウマ)の未使用 ⇒ ジャッキは車体を持ち上げるための装置であり、持ち上げた状態を維持するためのものではありません。作業中は必ずリジッドラックを使う必要があります。
- 不安定な場所での作業 ⇒ 傾斜地や柔らかい地面など不適切な場所でのジャッキアップは非常に危険です。
- 不適切なジャッキポイント ⇒ 車種ごとに定められた正しいジャッキアップポイントを使用しないと、ジャッキが外れる危険性が高まります。
自動車整備士によると、「クルマの整備作業は危険と隣り合わせなことが多いです。タイヤ交換やエンジンオイル交換は資格がなくても出来ますが、間違ったジャッキアップ方法などによる事故が起こることもあり、基本的にはディーラーや整備工場などに任せるほうが良いと言えます」とのことです。
ホイールナット締付け不足で脱輪事故
ジャッキ脱落に次いで多いのが、ホイールナットの締め付け不足による脱輪事故です。タイヤ交換後にナットが緩んで走行中にタイヤが外れてしまうというものです。
北海道では2023年11月に札幌市内で走行中の軽乗用車の左前輪が外れる事故が発生。さらに年をまたいでもこの傾向は続き、道内では「タイヤ交換した当日に脱落」という事例も報告されています。
JAFによれば、タイヤ脱落の件数は2023年1年間で234件にのぼります。月別では11月が36件と冬タイヤに交換する時期が最も多くなっていますが、夏タイヤへの交換時期も注意が必要です。
これらの事故の主な原因は次の3つです。
- トルク管理の不備 ⇒ ホイールナットの締め付けには正確なトルク(100~120N・m程度)が必要です。手締めや過度な締め付けは危険です。
- 均等な締め付け不足 ⇒ ナットは対角順に均等に締め付ける必要があります。
- 増し締め未実施 ⇒ タイヤ交換後、50~100km走行後に増し締めを行わないと緩みが発生する可能性があります。
こうした脱輪事故はドライバー自身の安全を脅かすだけでなく、外れたタイヤが他の車両や歩行者に衝突する二次被害の危険性もあります。
実際に2023年11月には札幌市で走行中の車両から脱落したタイヤが4歳の女の子に直撃し、重体となる事故が発生しています。
工具誤使用でボルト折損(ハブ交換10万円超)
ジャッキ脱落や脱輪の危険性に加え、不適切な工具使用による車両損傷も多発しています。特に多いのがホイールボルト(スタッドボルト)の破断事故です。
車種によってはタイヤ交換でボルトが折れてしまう事例があります。例えばスバルのレガシィB4のオーナーがタイヤ交換のためカー用品店を訪れた際、「1本だけナットが硬くてとれないからタイヤを交換するにはボルトを折るしか方法はない」と言われたケースがありました。
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しかし、この状態でボルトが1本折れたまま走行すると、残りのボルトに負荷が集中し、最悪の場合走行中にタイヤが外れる可能性があります。
実際、タイヤは5本(または4本)全てのボルトで均等に車体を支える設計になっており、1本でも欠けると強度不足となり危険です。
こうした場合の修理費用は次のようになります。
修理内容 | 費用 |
ハブボルト交換のみ | 7,000~10,000円程度 |
破損が大きい場合のハブ交換 | 10万円超 |
DIYが難しくなる最新車両事情とは
自動車技術の進化により、タイヤ交換の作業も複雑化しています。
従来のような「ボルトを外して交換するだけ」という単純作業ではなくなっているのです。特に、安全性向上のために搭載される最新機能が、DIYタイヤ交換をより困難にしています。
- TPMS(空気圧センサー)車はリセットツール必須
- ランフラット・20インチ超はビード落とし機器が必須
以下より、詳しく解説します。
TPMS(空気圧センサー)車はリセットツール必須
近年の車両に広く普及しているのが、TPMS(Tire Pressure Monitoring System)と呼ばれるタイヤ空気圧監視システムです。
TPMSは、タイヤの空気圧を常時監視し、適正値を下回った場合に警告灯を点灯させる安全装置です。アメリカでは2007年から新車への装着が義務化され、ヨーロッパでも2012年、中国でも2019年から義務化されています。
日本車においても、レクサスの全車種(CT除く)やトヨタのカムリ、クラウン、日産のスカイラインやGT-R、マツダのCX-5など、多くの車種に標準装備されています。
TPMSは大きく分けて2種類あります。
- 間接式 ⇒ ABSセンサーを利用して左右輪の回転数の差から空気圧低下を検知するもの(BMWやアウディなどが採用)
- 直接式 ⇒ バルブに空気圧センサーを内蔵し、直接圧力を検知するもの(レクサスやポルシェなどが採用)
直接式TPMS車ではタイヤ交換後にセンサーのリセット作業が必要となります。特にフォード車などの輸入車では、OBD(車載自己診断)端末を介したリセット作業が必須となる車種もあります。
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DIYでセンサー破損を引き起こした場合、交換費用は1個あたり5,000~10,000円程度、工賃込みで最大2万円程度かかることもあります。
ランフラット・20インチ超はビード落とし機器が必須
もう一つの大きな障壁となるのが、ランフラットタイヤや大径ホイールの普及です。
ランフラットタイヤは、パンクしても一定距離の走行が可能な特殊タイヤで、BMWやメルセデス・ベンツなど多くの輸入車に標準装備されています。日本車でも高級モデルを中心に採用が増えています。
ランフラットタイヤは側面が極めて硬く、通常のタイヤと比べて脱着が難しいという特徴があります。
- 専用のビード落とし機 ⇒ タイヤとホイールを分離する装置が必要
- 手動式タイヤレバーでは不可 ⇒ 通常の手動式タイヤレバーでは物理的に外せないケースが多い
- 損傷リスク ⇒ 力任せに作業するとホイールやタイヤを傷つける危険性が高い
また、20インチ以上の大径タイヤも同様の理由で脱着が困難です。
大型SUVやラグジュアリーカーなどに装着される大径タイヤは、物理的な大きさと硬さから、家庭で用意できる程度の工具では安全に脱着できないケースがほとんどです。
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DIYとプロ依頼の費用&リスクを比較
タイヤ交換をDIYするか、プロに依頼するかを判断する上で、費用だけでなく作業時間やリスクを含めた総合的な比較が必要です。
- DIY「初期投資1.5万円+60~90分」
- プロ依頼「工賃6,600円~」
- 失敗した場合の損害コスト比較
以下より、詳しく解説します。
DIY「初期投資1.5万円+60~90分」
DIYでタイヤ交換を行う場合、まずは必要な工具を揃える必要があります。最低限必要な工具と平均的な価格は次の通りです。
必要な工具 | 価格 |
フロアジャッキ | 7,000円~ |
トルクレンチ | 5,000円~ |
リジッドラック(ウマ) | 2,000円~ |
輪止め | 1,000円~ |
その他(軍手、潤滑剤など) | 1,000円~ |
合計で約1.5万円以上の初期投資が必要となります。また、TPMS搭載車の場合は専用のリセットツール(7,000~8,000円程度)も追加で必要です。
作業時間については次の通りです。
属性 | 時間 |
経験者(1台あたり) | 30~45分程度 |
初心者(1台あたり) | 60~90分程度 |
これらの工具投資と時間を考えると、年に1~2回のタイヤ交換では、経済的なメリットは思ったほど大きくないケースも多いでしょう。
プロ依頼「工賃6,600円~」
一方、専門店に依頼した場合の費用は次の通りです。
店舗 | 工賃(4本) |
オートバックス | 6,600円~ |
イエローハット | 6,600円~ |
タイヤ専門店 | 6,000円~ |
ディーラー | 8,000円~ |
価格は車種やタイヤのサイズによって変動します。また、持ち込みタイヤの場合は別途料金がかかるケースがあります。
TPMS搭載車の場合、センサーリセット料金が追加されることがあります。
車種 | TPMS設定料金 |
通常車種 | 0~2,000円程度 |
特殊設定が必要な輸入車 | 3,000~5,000円程度 |
ただし、作業時間については次のメリットがあります。
- 一般的に予約制で待ち時間が少ない
- 作業自体は15~30分程度で完了
- プロの工具と技術で安全かつ迅速な作業
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DIYと比べると費用は若干高くなりますが、安全性と時間効率を考えれば、プロに依頼するメリットは大きいと言えます。
失敗した場合の損害コスト比較
DIYタイヤ交換の一番のリスクは、作業失敗時の損害コストです。タイヤ交換のミスは単なる工具の破損だけでなく、車両の重大な損傷や人身事故につながる可能性があります。
代表的な失敗リスクと想定損害額は次の通りです。
- 軽症の場合(治療費・休業補償等で10万円以上)
- 重症・死亡の場合(数百万~数千万円の賠償責任)
- フェンダー破損(15~20万円)
- ボディやサスペンション損傷(30万円以上)
- 他車・構造物への衝突(数十~数百万円)
- TPMS破損(センサー交換で1個8,000円程度)
- ホイールボルト破損(ハブ交換で10万円超)
- ホイール破損(5~15万円、高級ホイールの場合はさらに高額)
- 走行中のホイール脱落(車両損傷で数十万円)
- 他者を巻き込む事故(数百万~数千万円の賠償責任)
これらを考慮すると、節約できる工賃数千円に対して、潜在的なリスク額は数万~数千万円と比較にならないほど大きいのです。
「難しいことはプロに任せる」というのは、単なる格言ではなく、リスク管理の観点からの合理的な判断と言えるでしょう。
プロに任せる4つのメリット
タイヤ交換をプロに依頼するメリットは多岐にわたります。安全性だけでなく、車両の性能維持や時間的な効率性まで、総合的に考えるとプロ依頼の価値は明らかです。
- ① 専用機材とトルク管理で脱輪リスクゼロ
- ② 同時にバランス取り+足回り点検
- ③ TPMS再設定・センサー交換までワンストップ
- ④ 予約30分で完了(時間と労力を節約)
以下より、詳しく解説します。
① 専用機材とトルク管理で脱輪リスクゼロ
プロの整備工場やタイヤショップでは、次のような専用機材を使用してタイヤ交換を行います。
- エアインパクトレンチ ⇒ 適切な力でナットの脱着を行う空気式工具
- トルクレンチ ⇒ 正確なトルク値で締め付けを行う専用工具
- リフト ⇒ 車両全体を持ち上げる安全な設備
- ビードブレーカー ⇒ タイヤとホイールを分離する専用機器
特に重要なのがトルク管理です。ホイールナットは車種ごとに定められた適正トルク(多くの場合100~120N・m程度)で締め付ける必要があります。
締め付けが弱すぎれば走行中に緩む危険があり、強すぎればボルトの破損リスクが高まります。
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② 同時にバランス取り+足回り点検
タイヤ交換時に重要となるのが、ホイールバランス調整です。タイヤとホイールにはそれぞれ重量のばらつきがあり、このバランスが崩れると次のような問題が生じます。
- 走行時の振動が増す ⇒ 快適性が損なわれる
- ハンドルが取られる ⇒ 運転操作が不安定になる
- タイヤの片減りが発生する ⇒ タイヤ寿命が短くなる
- 燃費が悪化する ⇒ 走行抵抗が増加する
プロのタイヤショップではタイヤ交換時に次のような対応をしてくれます。
- 専用のホイールバランサーでバランス測定
- バランスウェイトによる正確な調整
- タイヤの偏摩耗チェック
- ホイールアライメントの簡易チェック
さらに多くの場合、タイヤ交換時に足回りの簡易点検も同時に行ってくれます。
- ブレーキパッドの残量チェック
- ショックアブソーバーの漏れチェック
- ブーツ類の破損チェック
- ステアリング部品の緩みチェック
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こうした総合的な点検は、DIYでは難しい部分です。早期に異常を発見できれば、大きなトラブルや修理費用を未然に防ぐことができます。
③ TPMS再設定・センサー交換までワンストップ
TPMS搭載車のタイヤ交換では、センサーの設定作業が必須となります。プロの整備工場では次のような対応が可能です。
- 専用のセンサーリセットツールを保有
- 車種ごとの設定手順を熟知
- センサーIDの読み取りや書き込みに習熟
- センサー故障時の交換作業も可能
例えばフォード車では、TPMS設定手順が複雑で、OBD端末を介した特殊な作業が必要なケースもあります。こうした専門的な作業をDIYで行うのはハードルが高いでしょう。
また、TPMS搭載車では、タイヤ交換以外にも次のような対応が必要です。
- センサーの電池交換 ⇒ 寿命は約5~7年
- センサーの故障診断 ⇒ 専用機器でID読取とエラー確認
- サマータイヤ・スタッドレスタイヤ双方のセンサー管理 ⇒ 季節ごとの切り替え設定
- ID登録の切り替え ⇒ 車両コンピューターへの再登録
これらをワンストップで対応できるのがプロに依頼する大きなメリットです。
④ 予約30分で完了(時間と労力を節約)
最も見落とされがちなメリットが「時間効率」です。タイヤ交換は予約制の店舗なら次のようなメリットがあります。
- 待ち時間なしで作業開始 ⇒ 事前予約で作業がスムーズ
- 熟練したスタッフによる素早い作業 ⇒ 専門技術で安全かつ迅速
- 4本交換でも30分程度で完了 ⇒ DIYの1/4~1/6の時間で済む
DIYの場合、工具の準備から後片付けまで含めると数時間を要することが一般的です。また、季節の変わり目には雨や雪に悩まされることもあるでしょう。
特にスタッドレスタイヤへの交換は、雪が降る前の混雑期に行う必要があります。天候を見ながら自分で作業するよりも、天候に左右されず、短時間で確実に交換できる専門店を利用する方が効率的です。
時間はお金に換算できる貴重な資源です。数時間かけてDIYするよりも、数千円払ってプロに任せることで、その時間を別の活動に有効活用できます。
どうしてもDIYするなら最低限守る5か条
様々なリスクを説明しましたが、「それでも自分でタイヤ交換したい」という方もいるでしょう。どうしてもDIYする場合は、以下の5か条を厳守してください。
- 水平・硬い路面で輪止め+ウマ(リジッドラック)必須
- 規定トルク100~120 Nmをトルクレンチで確認
- 50 km走行後に増し締め
- TPMS車は専用リセットツールを用意
- 20インチ超・ランフラットは迷わずプロ依頼
以下より、詳しく解説します。
水平・硬い路面で輪止め+ウマ(リジッドラック)必須
安全なタイヤ交換の大前提は、作業環境の確保です。必ず以下の条件を満たす場所で作業してください。
- 平坦で硬い地面 ⇒ コンクリートやアスファルトなど
- 十分な作業スペース ⇒ 車両周囲に最低1m以上の余裕
- 屋根のある場所 ⇒ 急な天候変化から身を守るため
また、作業前の車両の安全確保も重要です。
- エンジンを完全に停止
- パーキングブレーキをしっかりかける
- オートマチック車はPレンジ、マニュアル車は1速またはリバースに入れる
- 交換するタイヤと対角のタイヤに輪止めを設置
車男爵
最も重要なのが、リジッドラック(ウマ)の使用です。
ジャッキは車体を持ち上げるための装置であり、持ち上げた状態を維持するためのものではありません。必ずジャッキアップ後にリジッドラックを設置し、ジャッキの荷重を抜いてください。
規定トルク100~120 Nmをトルクレンチで確認
ホイールナットの締め付けには、必ずトルクレンチを使用してください。一般的な車両の規定トルクは100~120Nm程度ですが、必ず車種ごとの正確な規定値を確認してください。
締め付けの際は次の点に注意します。
- 手で仮締め後にトルクレンチで本締め ⇒ まず均等に手で締めてから、トルクレンチで本締めする
- 対角順に均等に締め付ける ⇒ ホイールが均等に固定されるよう、対角線上の順序で締める
- トルクレンチが「カチッ」と鳴るまで ⇒ カチッと音がする=規定トルク達成のサイン
- 「カチッ」以上は締めない ⇒ 過剰な締め付けはボルト破損の原因になる
レンチを持つ位置や角度によってもトルク値が変わるため、正しい持ち方で作業することも重要です。また、安価なトルクレンチは精度が低い場合があるため、可能であれば信頼性の高い製品を選びましょう。
50 km走行後に増し締め
タイヤ交換後、ナットは走行によって若干緩む可能性があります。これは新品タイヤに限らず、タイヤローテーションなど、ナットを外して再度締め付けた場合も同様です。
安全のため、次のことを守りましょう。
- タイヤ交換後、50km程度走行したら増し締めを実施
- 増し締めも必ずトルクレンチを使用
- 対角順に均等に締め付ける
- その後も定期的に締め付け状態を確認
車男爵
この増し締めを怠ると、徐々にナットが緩み、最悪の場合走行中の脱輪につながる可能性があります。
TPMS車は専用リセットツールを用意
TPMS搭載車では、タイヤ交換後にセンサーの再設定が必要です。車種によって設定方法は異なりますが、多くの場合は次のような対応が必要です。
- 専用のTPMSリセットツールが必要 ⇒ 車種に合ったリセットツールを用意する
- OBD端末を使った設定 ⇒ 一部の車種では車両診断ポートを介した設定が必要
- 車種ごとの正確な手順 ⇒ メーカーや年式によって大きく異なるので注意
例えばフォード車では「FORD純正 TPMSリセットツール」などの専用機器が必要になります。このツールなしでタイヤ交換すると、常にTPMS警告灯が点灯し続ける状態になってしまいます。
また、センサーの設定方法を誤ると、センサー自体にダメージを与える可能性もあるため、自信がない場合はプロに依頼することをおすすめします。
20インチ超・ランフラットは迷わずプロ依頼
最後に、以下のケースでは無理をせず、必ずプロに依頼することをおすすめします。
- 20インチ以上の大径タイヤ ⇒ 物理的に力が必要で、DIY工具では対応困難
- ランフラットタイヤ ⇒ 極めて硬く、専用機材なしでの脱着は困難
- 輸入車の特殊規格 ⇒ 特殊なトルク管理が必要なケースが多い
- TPMSセンサーの交換が必要な場合 ⇒ 特殊工具と技術が必要
これらは「技術的に不可能」というレベルの難しさがあり、無理に挑戦すると車両損傷のリスクが極めて高くなります。
まとめ
タイヤ交換のDIYリスクとプロ依頼のメリットを見てきましたが、結論として「安全性」と「総合的なコスト」を考えれば、プロへの依頼が合理的な選択と言えます。
工賃6,000円程度で済むプロの作業に比べ、DIYで失敗した場合の人身事故リスクや車両損害は10万円単位になる可能性があります。時間的コストも考慮すれば、なおさらプロ依頼の価値は明らかです。
車男爵
DIYは「緊急用」として知識を持っておくことには価値がありますが、定期的なタイヤ交換は信頼できる整備工場やタイヤショップに依頼することをおすすめします。安全は何物にも代えがたい価値があります。
- ジャッキ脱落による死亡事故が毎年発生している
- ナットの締め付け不良による脱輪事故も多発
- TPMS搭載車やランフラットタイヤはDIY作業が困難
- 工賃節約よりも安全性の確保を優先すべき
- プロに依頼すれば安全かつ短時間で交換完了
自分の技術に自信がある方も、最新車両の複雑化を踏まえ、年に1~2回のタイヤ交換は「保険料」と考えてプロに任せることを検討してみてはいかがでしょうか。
車男爵