タイヤの購入を考える際に、タイヤがひび割れしやすいメーカーは避けたいですよね。
一部のメーカーやモデルで特にひび割れ報告が多い傾向が見られます。
この記事では、掲示板や実際のユーザー報告を調査し、ひび割れしやすいメーカーやモデルについて詳しく解説します。
車男爵
タイヤがひび割れしやすいメーカー・モデル
タイヤのひび割れ発生傾向を、掲示板や実際のユーザー報告を調査した結果、特に早期ひび割れの報告があるメーカーが確認できました。
- ピレリ(一般的な傾向として)
- ミシュラン(一部のモデル・使用条件)
以下より、詳しく解説します。
ピレリ(一般的な傾向として)
Yahoo!知恵袋にて、ユーザー質問「ヒビ割れの少ないタイヤメーカーってありますか?」に対し、「ヒビ割れが早いという悪評メーカー(ピレリ)の情報はよく聞く」という複数の回答が見られます。
参考
ヒビ割れの少ないタイヤメーカーってありますか?Yahoo!知恵袋
ミシュラン(一部のモデル・使用条件)
年間走行距離が少なく、青空駐車などで紫外線に晒される環境では、プライマシー4でも3年程度でかなりのひび割れが発生する報告があります。
また古いミシュランモデルPRIMACY HPでは、3年半使用で1万6千キロしか走行していないにもかかわらず「側面と溝の底の部分に無数のひび」が確認されています。
タイヤに耐久性があるメーカー・モデル
高品質な配合技術や厳格な品質管理により、「耐候性が優れている」「ひび割れにくい」といった特徴があるメーカーやモデルは次の5つです。
- ブリヂストン(全般)
- ヨコハマタイヤ(BluEarthシリーズ)
- グッドイヤー Vector 4Seasons Gen 3
- ミシュラン プライマシー4+
- コンチネンタル(プレミアムライン)
以下より、詳しく解説します。
ブリヂストン(全般)
国産メーカーとして高品質なゴムコンパウンドを使用しており、一般的に耐久性が高い評価を受けています。
特に耐久性においては国内外で高い信頼を得ています。
ヨコハマタイヤ(BluEarthシリーズ)
オレンジオイル配合によりゴムの経年劣化を抑制する独自技術を採用しています。
これによりひび割れの発生を効果的に防ぐ効果があります。
グッドイヤー Vector 4Seasons Gen 3
2024年ADACテストにおいて、驚異的な60,000km以上の耐久性を実証しました。
これは同テストでの他のタイヤと比較して約2倍の寿命を示しており、圧倒的な耐久性能を有しています。
参考
ADAC 2024-2025: All-Season Tire Test R16https://TiresVote.com/
ミシュラン プライマシー4+
年間1万数千kmを走行する場合は「良く保ってくれるタイヤ」として高い評価を受けています。
新配合コンパウンドにより経年劣化に強い設計となっており、ユーザーレビューでも「耐久性についても肯定的な意見が多く、長期間にわたって性能を維持することができる」との評価を得ています。
参考
ミシュラン・プライマシー4⁺とプライマシー4の違いは?シリーズの特徴や金額相場を解説タイヤワールド館ベスト
コンチネンタル(プレミアムライン)
ドイツ製のソリッドシリコンテクノロジーにより耐オゾン性が高く、紫外線による劣化を抑制する設計になっています。
高級車メーカーの純正装着タイヤとしても採用実績があります。
ひび割れの原因はメーカーよりも使用環境が大きい
さまざまなユーザーフォーラムや掲示板を調査したところ、ピレリやミシュランなどで早期のひび割れ報告が見られています。
一方で、ブリヂストン全般やヨコハマタイヤ(BluEarthシリーズ)などでは優れた耐久性が見られます。
しかし、JATMA(日本自動車タイヤ協会)の資料によると、タイヤのひび割れは紫外線、空気圧不足、洗浄剤による油分除去など、使用環境や管理方法が主要な要因となっています。
車男爵
以下より、どのような状況でタイヤのひび割れが加速するのかについて解説します。
- 紫外線&屋外放置(屋内保管より劣化が促進します)
- 低空気圧走行(サイド屈曲疲労で早期にクラックが発生します)
- 溶剤系タイヤワックス(油分吸出しでゴム硬化を促進します)
- 寒暖差と融雪剤(塩カル+凍結で表面マイクロクラックが発生します)
以下より、詳しく解説します。
紫外線&屋外放置(屋内保管より劣化が促進します)
JATMA(日本自動車タイヤ協会)の安全資料によると、紫外線はタイヤのひび割れを促進する主要因の一つです。
屋外保管ではガレージ保管と比較して、ゴムの劣化速度が著しく速くなります。
車男爵
参考
No.72 / タイヤのクラック(ヒビ割れ)ここまで来たら要注意JATMA
低空気圧走行(サイド屈曲疲労で早期にクラックが発生します)
空気圧不足による走行は、タイヤのサイドウォールに過度な屈曲疲労を発生させます。
JATMAの安全情報では、「空気圧不足は安全運行の大敵」として警告されており、適正空気圧より30%低下した状態での走行は、タイヤの寿命を半分以下に短縮する可能性があります。
参考
JATMA、タイヤ空気圧点検の実態調査carwatch
参考
No.73 / 過荷重と空気圧不足は安全運行の大敵!JATMA
溶剤系タイヤワックス(油分吸出しでゴム硬化を促進します)
従来の溶剤系タイヤワックスは、タイヤ本来の油分を過度に吸出し、ゴムの硬化を促進する懸念があります。
自動車整備業界では、水性シリコン系の製品が推奨される理由として、ゴムへの影響が少ないことが挙げられています。
寒暖差と融雪剤(塩カル+凍結で表面マイクロクラックが発生します)
寒暖差の激しい環境は、タイヤの膨張・収縮を繰り返させ、表面に微細なクラックを発生させます。
さらに、冬季の融雪剤(塩カルシウム)は化学的にゴムを劣化させ、クラックを拡大させる作用があります。
JATMAの安全資料でも表面クラックの促進要因として指摘されています。
参考
No.72 / タイヤのクラック(ヒビ割れ)ここまで来たら要注意JATMA
ひび割れを防ぐ5つの方法
タイヤの寿命を最大限に延ばすには、日常的な管理が不可欠です。
以下の5つのポイントを実践することで、どのメーカーのタイヤでも3~5年以上の良好な状態維持が期待できます。
- 月1空気圧チェック&半年で1回ローテーションする
- 屋外保管時はカバー+タイヤボードで地熱カットする
- 水性シリコンワックスを薄塗り、溶剤系は避ける
- 走行後にタイヤを水洗いして塩カルを除去する
- 製造5年・クラック深さ1 mm超が交換の目安です
以下より、詳しく解説します。
月1空気圧チェック&半年で1回ローテーションする
適正空気圧の維持は、タイヤ寿命を延ばす最も効果的な方法です。
月に1回の空気圧チェックを習慣化し、必要に応じて補充しましょう。また、半年に1回のローテーションで摩耗を均一化し、全タイヤの劣化速度を一定に保つことができます。
屋外保管時はカバー+タイヤボードで地熱カットする
屋外保管が避けられない場合は、専用のタイヤカバーで紫外線を遮断し、タイヤボードや発泡スチロールなどで地面からの熱を遮断します。
車男爵
水性シリコンワックスを薄塗り、溶剤系は避ける
タイヤの外観維持には、水性シリコン系ワックスを薄く塗布する方法が最適です。
溶剤系ワックスはゴムの油分を奪う可能性があるため、長期的な使用は避けるべきです。
走行後にタイヤを水洗いして塩カルを除去する
特に冬季は、走行後にタイヤを水洗いして融雪剤(塩カルシウム)を除去することが重要です。
車男爵
製造5年・クラック深さ1 mm超が交換の目安です
JATMA基準では、製造から5年以上経過したタイヤは定期的な点検が必要です。
また、クラックの深さが1mmを超えた場合は、安全性の観点から早めの交換が推奨されます。
タイヤがひび割れしやすい設計・素材上の条件
タイヤのひび割れやすさは使用環境だけでなく、タイヤ自体の設計や素材にも大きく左右されます。
メーカーやモデルごとに採用している技術や配合レシピが異なるため、タイヤの耐久性にも違いが生じるのです。
- ゴム配合に抗オゾン剤・防老剤が少ない
- シリカの含有量が少ない(または未配合)
- トレッドやサイドの厚みが薄い設計
- 製造からの時間が長い(保管劣化)
- 表面に溶剤残りやワックスが付着している
以下より、タイヤがひび割れしやすくなる設計・素材上の主な要因を解説します。
ゴム配合に抗オゾン剤・防老剤が少ない
タイヤのゴムには「抗オゾン剤」や「防老剤」と呼ばれる添加物が配合されています。
これらは大気中のオゾンや紫外線によるゴムの劣化を防ぐ重要な働きをしています。
富士ゴム化成の専門サイトによると、「オゾン劣化防止剤は、アミン系老化防止剤の化学的作用とワックスの物理的作用で保護する」役割を果たします。
低価格タイヤや一部の輸入タイヤでは、これらの添加物の量や質が十分でない場合があり、結果としてひび割れに対する耐性が低下します。
特に車両を屋外駐車している場合、抗オゾン剤や防老剤が少ないタイヤは早期にひび割れを起こしやすくなります。
シリカの含有量が少ない(または未配合)
近年のタイヤでは、カーボンブラックと共に「シリカ」と呼ばれる素材が配合されています。
シリカはタイヤの性能向上に重要な役割を果たしており、富士ゴム化成の資料によれば「具体的なメリットとして、燃費向上、ウェットグリップ性能の向上、耐摩耗性の向上」などがあります。
特に重要なのは、シリカ配合によりゴムの柔軟性が維持され、硬化や脆化が抑制される点です。
これにより、経年によるひび割れが軽減されます。
シリカ配合量が少ないモデルや、コスト削減のためにシリカを使用していないモデルでは、経年劣化によるひび割れが発生しやすくなる傾向があります。
トレッドやサイドの厚みが薄い設計
タイヤの構造において、トレッド部(接地面)とサイドウォール部(側面)の厚みはひび割れ耐性に影響します。
ブリヂストンの公式情報によると、「サイドウォール部は走行する際に最も屈曲の激しい部分」であり、常に大きな応力を受けています。
サイドウォールが薄く設計されたタイヤは軽量化や燃費向上には有利ですが、屈曲応力に対する耐性が低く、早期にひび割れを発生させる可能性があります。
特に低価格帯のタイヤに多く見られる傾向です。
また、トレッド部の厚みが不十分な場合も、使用に伴う応力が内部構造に伝わりやすくなり、ひび割れの原因となることがあります。
製造からの時間が長い(保管劣化)
同じ新品タイヤでも、製造からの時間経過によって品質に差が生じることがあります。
TireNavigatorの情報によれば、「限りなく白に近いグレー」という表現で、「少なくとも3年以内に製造され、管理倉庫で保管されていたタイヤについては性能低下はほぼ無視できるレベル」としています。
参考
未使用状態のタイヤの保管期間と性能低下についてハッキリさせようじゃないかTireNavigator
しかし、製造から長期間経過したタイヤは、たとえ使用していなくても保管環境次第で劣化する可能性があります。
特に「換気は?温度は?湿度は?」といった保管条件が適切でない場合、製造から時間が経過したタイヤはひび割れリスクが高まります。
一般的に、タイヤメーカーは製造から5年程度を未使用タイヤの品質保証限度としているケースが多いです。
表面に溶剤残りやワックスが付着している
タイヤ表面のケア製品であるタイヤワックスには、水性と油性の2種類があります。
Fyパーツの情報によると、「タイヤワックスがひび割れを起こしてしまう最大の原因は、ワックスに含まれている石油系溶剤にある」とされています。
参考
【タイヤワックス】ひび割れの原因って?効果的なタイヤワックスの使い方とは?Fyパーツ
特に油性タイヤワックスに含まれる石油系溶剤は、タイヤ本来の油分を奪ってしまい、ゴムの硬化やひび割れを促進する可能性があります。
オートバックスの公式情報でも「油性のタイヤワックスには石油系溶剤を含む場合があり、ゴムの変形・劣化を促すケースがある」と注意喚起しています。
参考
タイヤのひび割れ(クラック)は交換すべき?対策や交換レベルを解説オートバックス公式ブランドサイト
また、製造工程で使用される離型剤などの残留物がタイヤ表面に付着したままだと、紫外線との相互作用でひび割れを促進することもあります。
まとめ
調査の結果、確かに一部のタイヤでひび割れ報告がありました。
しかし、タイヤのひび割れは以下の複合的要因によって決まります。
- メーカー・モデルの基本品質(配合技術、製造品質)
- 使用環境(紫外線暴露、温度変化、化学的要因)
- メンテナンス(空気圧管理、清掃、保管方法)
重要なのは、信頼性の高いブランドを選びつつ、適切なメンテナンスを実践することです。
高品質なタイヤでも不適切な管理では早期劣化しますし、一般的なタイヤでも適切な管理で長寿命化が可能です。
特に、月1回の空気圧チェック、紫外線対策、融雪剤の除去といった基本的なメンテナンスは、どのタイヤでも必須の実践項目です。
これらの対策を徹底することで、6年以上のひび割れ知らずタイヤライフも十分可能になります。